店舗の立地はどう選ぶ?立地の4タイプと立地選定における注意点

店舗開発 , 立地分析
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「店舗の出店にあたって、選ぶべき立地が分からない」「支店を増やす上で、何を精査すべきか知りたい」という悩みを抱える方は多いことでしょう。人気のエリアであれば好立地だと考えられやすいですが、実際は業種や店舗の特徴によって適する立地は異なります。

今回は店舗の立地選びについて4タイプの立地を挙げながら、選定時の注意点を解説します。立地選定における不安を解消させて、売上が伸びる店舗を出店したい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

立地条件については以下の記事で詳しく紹介しています。立地条件そのものの知識を深めたい方はぜひ参考にしてください。

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立地の定義と条件設定の方法

「立地」とは、自然的な条件や社会的な条件を考えて、店舗を構える土地を決めることです。自然的な条件とは主に気候や地勢のことで、社会的な条件とは交通状況や人口などを指します。人が多く集まる場所に出店すれば成功するとは限らないため、必要な条件を押さえて立地することがポイントです。

つまり、立地条件の設定にあたってGIS(地理情報システム)で抽出できる以下の要素は最低限把握しておかなければなりません。

  • 人口数
  • 世帯数
  • 商圏のポテンシャル(=自社のターゲットとなり得るか)

これらの情報からターゲットの集客は可能か、見込んだ売上を達成できるかなどを見極め、立地を決定していく必要があります。立地は出店後に変更できないため、さまざまな情報を加味したうえで店舗に適した土地を選びましょう。

立地選定で知っておきたい4つの立地タイプ

立地には、以下の4タイプが存在します。

  • 近隣型
  • 地域型
  • 広域型
  • 超広域型

それぞれのタイプを理解し、自店に適した立地を考えていきましょう。

立地のタイプ1:近隣型

近隣型の立地とは主に住宅地域を指します。道路やバスなどの交通機関はあっても人々が通過しやすく、ターゲットを集めにくいことが特徴です。商圏の人口は1万人ほどであり、立地から近い距離で生活する住民が利用、つまり来店やサービス/商品の購入をすると考えられます。

近隣型の立地におすすめの商品構成は、低価格で、実用性や汎用性のある商品がよいでしょう。大衆に受けの良い最寄品を中心とした、買回品の取り扱いもある小売店舗が向いています。

気軽に通えて、なおかつ利便性が高いと感じてもらうことで、商圏の規模が小さくても安定した顧客を獲得できます。

立地のタイプ2:地域型

地域型の立地とは、広い都市の中間や独立した中小都市の中心に位置する地域を指します。ローカル交通網の中心であり、周囲にある近隣型商店街の影響を受けていることが特徴です。

商圏の人口は数万人から10万人ほどのため、公共交通機関を使ってさまざまな地域から顧客が来店すると考えられます。

地域型の立地におすすめの商品構成は、流通性が高く、さまざまな客層に合わせた商品、センスのある商品などです。地域型の場合、買回品をメインとして、最寄品も販売している店舗が望ましいといえます。

豪華で個性を感じる店舗だと認識してもらうことで他店舗と差別化しつつ、集客効果を高めていけるでしょう。

立地のタイプ3:広域型

広域型の立地とは、県庁所在地などの大規模都市で、多くの人が集まる地域を指します。広域型の場合、鉄道やバスといった大量輸送の可能な交通機関が集中しており、幅広い顧客の来店が見込まれるでしょう。

商圏の人口は20万人以上であることが多く開放的な地形であるため、ドライブを兼ねて店舗へ向かうファミリー層の獲得も期待できます。

広域型の立地におすすめの商品構成は、地域型の場合と同じくそれぞれの客層に合った、流通性の高い商品などです。買回品を中心として最寄品も取り入れた店舗が好ましいでしょう。都市百貨店や全国チェーンのスーパー、ショッピングセンターなどが集まる地域であるため、高級なイメージを持ちつつ、個性を取り入れた店舗にしていくことがポイントです。

立地のタイプ4:超広域型

超広域型の立地とは、全国的に中心となる東京や大阪などの都市、または政令指定都市を指します。鉄道や地下鉄などが集まるため広域型立地よりもさらに多くの顧客を獲得しやすい地域です。

商圏の人口は100万人ほどであり、遠方の顧客にも来店してもらえる可能性が高いことが特徴です。超広域型におすすめの商品構成は、客層ごとのニーズに合う商品、ブランド重視型の商品などです。地域型や広域型の立地と共通して、買回品を中心としながら最寄品も取り扱う店舗が一般的です。

超高域型の立地には全国チェーンのスーパーや総合スーパーが多く存在するため、幅広い品ぞろえの店舗が好ましいでしょう。

参考:立地タイプまとめ

立地タイプ 立地の特徴 おすすめの商品構成 向いている店舗・業態
近隣型
  • 住宅地域
  • 商圏人口:約1万人
  • 低価格帯の商品
  • 実用的な商品
  • 汎用性のある商品
  • 主力商品:最寄品
  • 一部:買回品
地域型
  • 広域都市の中間
  • 中小都市の中心部
  • 商圏人口:数万から10万人
  • 流通性の高い商品
  • 客層を理解した商品
  • センスのある商品
  • 主力商品:買回品
  • 一部:最寄品
広域型
  • 県庁所在地
  • 地形は開放的
  • 商圏人口:20万人以上
  • 流通性の高い商品
  • 客層を理解した商品
  • センスのある商品
  • 主力商品:買回品
  • 一部:最寄品
超広域型
  • 全国的な中心都市
  • (東京・大阪など)
  • 政令指定都市
  • 商圏人口:100万人以上
  • 客層を理解した商品
  • ブランド品
  • 主力商品:買回品
  • 一部:最寄品

立地選定の注意点

ここでは立地選定の際の注意点や、理想の条件が見つからない場合の対処法も解説しますので、参考にしてください。

立地選定の注意点1:立地や商圏を点・面・線で選ぶ

適した立地や商圏を決める際に、点・面・線の3要素から割り出す方法があります。
それぞれの要素の意味は、次の通りです。

  • 点:店舗の位置
  • 面:点となる店舗の周辺地域
  • 線:顧客が来店するまでの動線

この3要素から、それぞれ次のような視点で分析していきます。

  • 点:認識のしやすさ(入りやすいか、店舗が見えやすいかなど)
  • 面:住民や駅を利用する人の特徴を踏まえ、ターゲットが来店しやすいか
  • 線:人や交通の流れ、交通手段を把握した上で、来店しやすいか

3つの要素を押さえて分析し、立地条件を満たせる場所に出店することが重要です。1つでも欠けると集客面において不利になることもあるため、3要素は必ず押さえておきましょう。

立地選定の注意点2:人気のエリアが繁盛する理由ではない

「人が多く集まるエリアや栄えているエリアに出店すれば、成功するだろう」と考えられがちですが、人気エリアだからといって繁盛するとは限らないため、注意しましょう。

これまでの考え方は、人が集まる場所に店舗の立地をすることが基本的でした。人気エリアに集まる人々を吸引できれば大きな売上が見込めるという、伝統的な発想です。

しかし、消費者が求める商品や適切なサービスを提供できれば、好立地ではなくても顧客は来店するというのが、これからの立地に対する考え方のようです。人気エリアのひとつである繁華街は競合の集客力も強いため、長期的に勝ち残っていくためには、適切な位置に立地することがポイントです。

立地選定の注意点3:外観や店舗の見え方

集客効果を高めるためには立地の外観や店舗の見え方にこだわり、認識しやすい・来店しやすいと感じてもらうことが大切です。外観のデザインだけではなく、入店するときに心理的なハードルが高くないかを顧客視点で考えましょう。

具体的には、店舗や駐車場の入口は明確な場所にあるか、顧客の動線上に店舗があるかなどが挙げられます。人が集まる場所に店舗を構えたとしても、来店のハードルが高くなると集客しづらくなる場合があるため、注意しましょう。

理想の条件が見つからない場合

理想の立地が見つからない場合はエリアの再選定が必要です。商圏分析用GISを利用して理想のエリアを選び直しましょう。GISは、さまざまな情報をデジタル地図に重ねて分析できるシステムです。

もし既存店があれば、類似点分析や出店余地分析から再分析が必要です。

GISで分析をおこなう際は、TerraMap(テラマップ)シリーズの利用をぜひご検討ください。

まとめ:4タイプの立地と注意点を押さえて出店を成功させよう!

  • 店舗の立地は自然的条件や社会的条件などから選ぶことがポイント
  • 立地には「近隣型・地域型・広域型・超広域型」の4タイプがある
  • 「点・面・線」から立地を割り出して入店のハードルを下げることが大切

店舗の立地はさまざまな情報から選ぶ必要があり、人口数・世帯数・商圏のポテンシャルから出店可能性を見極めなければなりません。

4つのタイプごとにおすすめの商品構成、適した業種などが異なるため、自店に適した立地を選ぶことが大切です。

また、立地や商圏は「点・面・線」から割り出し、立地条件を満たせるかを判断しましょう。人気のエリアだからといって繁盛するとは限らず、顧客視点で認識しやすい・入店しやすい店舗であることが求められます。

商圏分析で市場を把握。新規出店の調査がスムーズに。

タグ : 出店戦略 店舗マーケティング 立地 立地分析
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