実店舗の強みとは?アピールすべきポイントやECサイトとの連携を解説

店舗開発 , 立地分析
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「オンラインサービスの普及により、実店舗型ビジネスの需要が低くなった」「これからはECサイトの時代だ」と考える人も多いのではないでしょうか。

しかし、実店舗はさまざまなジャンルでシェアを獲得しており、「ECサイトに転換すべき」ともいい切れないのが現状です。

本記事では、ECサイトと比べた実店舗の状況を解説した後、実店舗のメリットや顧客行動の変化を意識した販売促進戦略のポイントを解説します。実店舗で効率的に集客し、顧客を獲得していきたい人はぜひ参考にしてください。

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実店舗はECサイトに比べて劣勢なのか?

インターネットの普及やニーズの多様化など、さまざまな要因でECサイトをはじめとするD2C事業は成長傾向にあります。

ECサイトの需要が増えても実店舗が劣勢であるとは限りません。理由として、次のような調査結果が挙げられます。

2021年9月、に株式会社ネオマーケティングがおこなった、購入場所についての比較調査によると、アクセサリーは10.0%の人がECサイトで購入するのに対し、37.5%の人は実店舗と答えました。

以下、本・CD・DVDは26.9%に対して28.0%、家具・インテリアは9.1%に対して40.6%など、あらゆるジャンルにおいて実店舗での購買率が高く、優勢であるという結果が出ています。

実店舗の強みを知るためにも、ここでECサイトとの違いを確認しましょう。主な違いとして、次の5つがあります。

  • 営業時間・場所
  • 運用コスト
  • 集客方法
  • 来店・購入行動
  • 接客

実店舗での商品購入を求める顧客層は多いため、運営を成功させるには、ECサイトとの違いを確認して、実店舗ならではの価値を提供することが重要です。

実店舗とECサイトの違い1:営業時間・場所

営業時間と出店場所は店舗・ECサイトともに重要ですが、その内容や性質は大きく異なります。

実店舗の場合、店舗の場所や営業時間に合わせて来店する顧客に商品を販売します。
商圏内の集客は比較的実行しやすいですが、顧客が遠方で生活していたり、営業時間内の来店が難しかったりなどの原因で、販売機会の損失につながる可能性もあるでしょう。

ECサイトの場合、店舗を構える・営業時間を設定するといった必要はありません。基本的には、オンライン上で、場所や時間を問わずに商品を販売できます。

ただし、デジタル機能を活用するには常にネットショップの維持・管理をしなければならないため、システムを構築するための運営ノウハウが求められるでしょう。

実店舗とECサイトの違い2:運用コスト

実店舗とECサイトでは、運営に必要なコストの種類が異なります。

実店舗の場合、賃貸の契約時にかかる保証金や礼金・リフォーム費用・備品の購入といった初期費用に加え、商品・材料の仕入費用、月々の家賃、人件費などが必要です。

一方、ECサイトの運営にはサイト開設の初期費用をはじめ、自社で立ち上げた場合は毎月のサーバー費用・ドメインの維持費用、他社サービスでサイトを作成した場合は月額利用料・決済手数料といったランニングコストがかかります。

また、ECサイトでは商品を配送するため、配送料を設定しなければなりません。配送料を高く設定すると顧客の負担が増える反面、無料にすると利益を圧迫するため注意が必要です。

実店舗とECサイトの違い3:集客方法

実店舗もECサイトも集客は店舗の健全な運営のためには、集客施策・方法は重要な要素の一つです。

実店舗の場合は店舗の周辺が商圏となるため、地域ごとの集客施策が効果的です。ポスティングや刊行物などが活用できるでしょう。昼間人口を調査するだけではなく、通行量も考慮した施策が必要です。

ECサイトの場合はオンライン広告による集客が軸となるため、予算と相談しつつ、広告を配信する客層を分析したり、配信先を選定したりする必要があります。

実店舗とECサイトの違い4:来店・購入行動

集客したあとに商品を購入してもらえるかどうかは、来店したあと、Webサイトに訪れたあとの接客が重要であり、それは実店舗もECサイトも変わりません。

実店舗に来店する顧客は、店舗の外観や雰囲気を見て判断する場合が多いため、コンセプトに沿った店舗を作ることで、来店につなげやすくなります。

店内で陳列した商品の質感や量・色調などが顧客に直接伝わり、店舗スタッフも直接対応できるため、購入を促しやすいでしょう。

ECサイトの場合は特定の商品を購入するなど、目的のはっきりしている顧客がアクセスします。顧客がECサイト内の情報だけで商品の購入を決められるように、商品画像や金額はもちろん、サイズ・カラー・レビューといった必要なデータ情報を掲載することが重要です。

実店舗とECサイトの違い5:接客

実店舗ではお客様と直接対面による接客が可能である反面、ECサイトは直接の接客はできない点が、両者の大きな違いです。

実店舗では、直接の接客によって顧客の悩みやニーズを聞き出し、CX(カスタマーエクスペリエンス)を高めやすくなっています。

ECサイトの場合は対面でのコミュニケーションが取れないため、顧客が離脱する可能性が高いです。問い合わせやチャットなどのカスタマーサービスを充実させる必要があります。

利用者顧客から見た実店舗で購入するメリットとは?

実店舗を経営する際は、店舗側ばかりではなく、顧客側のメリットを考えることも必要です。

  • 商品を手にとって確認できる
  • スタッフとコミュニケーションが取れる
  • 店舗のコンセプトや雰囲気を楽しめる

この章では、顧客にとってのメリットを上の3点に絞って解説します。

メリット1:商品を手にとって確認できる

実店舗では、気になる商品の使用感や見た目、質感、サイズなどを実際に手にとって確認できます。詳細をチェックしてから購入できるため、顧客は強い安心感を得られるでしょう。

特に、アパレル店舗の場合は試着してから購入を決められるため、買い物での失敗を減らせることがメリットです。

メリット2:スタッフとコミュニケーションが取れる

ECサイトの場合、問い合わせは原則としてオンラインでのみですが、実店舗であればスタッフと直接コミュニケーションが取れることも顧客にとってのメリットです。顧客は専門知識を持つスタッフに説明などを聞けるため、商品を信頼して購入できます。

また、スタッフとのコミュニケーションがあることで買い物をイベントとして楽しめることも、顧客にとってメリットといえるでしょう。

メリット3:店舗のコンセプトや雰囲気を楽しめる

来店した顧客が店舗のコンセプトや雰囲気を楽しめることも、実店舗ならではのメリットです。

ECサイトの場合は「いつでも同じサービスを受けられること」が特徴です。しかし、実店舗では各店舗や仕入れ状況によって商品・サービス内容が異なるため、来店のたびに違う雰囲気や体験が期待できます。

ブランドコンセプトによる内装デザインやイベント、店舗スタッフの雰囲気などを体験して非日常感を味わえることが、顧客が実店舗で商品を購入するメリットです。

実店舗とECサイトを融合させてさらなる販売促進を

実店舗にはさまざまな強みがあり、顧客からにも求められている反面、店舗経営のコストや集客・在庫管理の難しさといったデメリットも存在します。

近年では、異なる販売方法の強みをかけ合わせる企業が増えており、顧客体験をさらに向上させる方法の一つが「オムニチャネル」です。

オムニチャネルとは、オンライン・オフラインを問わず、実店舗とあらゆるメディアを統合して顧客との接点を増やし、販売促進を目指す方法です。

実店舗とECサイトの融合によりデメリットが軽減

ECサイトと実店舗を融合し、DX化していくことで、在庫や顧客情報の一元管理が可能になります。ECサイトで顧客に販売した商品を店舗で受け渡す方法も導入できるため、デメリットを軽減して強みを生かした経営につながるでしょう。

オムニチャネルを運用する際は、決済代行サービスを導入するとキャッシュレス決済をいち早く導入でき、会計業務が楽になるため、ぜひ検討してみてください。

集客面では、ターゲット層に合わせてSNSや集客アプリなども活用し、コストを抑えつつ時代に適した販促施策を展開していくことがポイントです。特に、小売業のような顧客と直接関わる業種では、ユーザーの動向を観察し、魅力的だと感じてもらえるコンテンツ配信をすると良いでしょう。

オムニチャネル戦略に悩んだらサポート業者へ相談がおすすめ

実店舗とECサイトの連携方法が分からない場合は、マーケティングに精通する業者へ相談するのも方法の一つです。販売促進効果を高めるための施策の提案や、オムニチャネルを運用する上での支援を受けられるでしょう。

依頼する企業を選ぶ際は、サポート内容が記載された資料や自社と類似する業界への導入事例を確認し、自社の方向性と合うか確認することが大切です。

オムニチャネルについて学べるセミナーが開催されている場合もあるため、チェックしてみると良いでしょう。

まとめ:実店舗の強みを活かしつつ、最適な販売促進の手段を考えよう

  • 実店舗は現在も優勢なチャネル
  • 店舗ならではの顧客体験が主なメリット
  • オムニチャネルはデメリットの軽減に効果的

インターネットの普及や生活の多様化などによりECサイトの需要が高まりつつある一方、実店舗もなお、優勢なチャネルとして多くの消費者が利用しています。

商品を実際に確認できることやスタッフとコミュニケーションが取れること、店舗の雰囲気を感じられることなど、実店舗ならではの体験が顧客にとってのメリットです。

経営コストや集客・在庫管理の難しさなどデメリットもありますが、あらゆるメディアを統合したオムニチャネルを活用して、実店舗の強みを生かした事業で売上アップを目指していきましょう。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : マーケティング戦略 店舗 店舗マーケティング 店舗運営 店舗開発
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