顧客の囲い込みとは?既存顧客を守り安定した売上を維持する方法

エリアマーケティング
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自社を利用している顧客の離脱や流出を防ぐマーケティング手法の一つである、顧客の囲い込み。新規顧客の獲得が難しい中、既存顧客に自店舗や商品のファンになってもらうには重要なマーケティング施策といえるでしょう。

今回は、顧客の囲い込みとは何か、囲い込みの具体的な戦略やメリット、実際におこなわれている施策にはどういった事例があるのかを解説します。

顧客の囲い込みとは?

「顧客の囲い込み」とは、既存顧客の離脱や他店舗への流出を防ぐために有効なマーケティングの戦略的手法です。
多少の前後はありますが、一般的には
新規顧客の集客や獲得にかかる費用は既存顧客を維持する際の5倍以上といわれています。
また「既存顧客の離脱を5%くい止められれば利益は25%改善される」という法則あり、既存顧客の維持やファン化は業績向上に必要不可欠な要素なのです

顧客のニーズをくみ取った自社商品や接客によるサービスでファンになってもらうことに成功すれば、利益が確保できる高いサービスの構築、長期的なビジネス戦略も立てやすくなるでしょう。

顧客の囲い込みをおこなうための戦略

顧客の囲い込みをおこなうための戦略として効果が高いのは以下の4つです。こちらでは、その取るべき戦略を具体的に解説していきます。戦略に欠かせないポイントも取り上げますので、参考にしてください。

戦略1:カスタマーサクセス

自社商品や提供サービスを購入した顧客が成功した、つまり「購入してよかった」と実感できるように継続的なサポートをおこなう戦略が「カスタマーサクセス」です。

言葉の響きは似ていますが、受動的な「カスタマーサービス(カスタマーサポート)」とは違います。

カスタマーサクセスは、顧客に自社商品やサービスを長く利用してもらうための積極的な働きかけです。例えば、商品の使用方法や特徴についてのわかりやすい説明、顧客の購入履歴に応じた商品紹介などがこれに当たります。たえず状況を把握しながら続けることで、顧客の囲い込みにつながる信頼関係が築けるでしょう。

戦略2:インサイドセールス

インサイドセールスとは足を使ったフィールドセールスとは違い、テレアポ・メールなどを利用した、室内にいながらおこなえるセールス手法のことを指します。

特に、自社商品やサービスに興味を持つ顧客を囲い込むには、商品の魅力、活用方法といった内容をダイレクトメール・ブログ記事などで定期的に発信すると効果的でしょう。

インサイドセールスは移動時間が必要ない分、顧客インサイト(潜在的な欲求)のヒアリングに時間を費やせます。ただし、深い顧客インサイトまでは把握するのには向いていません。そのため、状況やサービスに合わせた使い分けが必要になります。

戦略3:ロイヤルティプログラム

自社商品を気に入ってリピート購入する既存顧客に特典を与える戦略が「ロイヤルティプログラム」です。ロイヤルティプログラムの具体例は以下の通りです。

  • 既存顧客(ファン層)限定10%オフセールへの招待
  • 毎月10,000円以上の商品を購入した顧客に対するノベルティの進呈
  • 1年以上自社商品を購入した顧客に対する誕生日クーポン券の発行

ロイヤルティプログラムは、リピート顧客だけに優越感・満足感・プレミアム感を提供する戦略であるため、自社のファンになってもらう可能性を高め既存顧客を囲い込みやすくなります。

戦略4:ソーシャルネットワークサービス(SNS)

より近い距離感で顧客の囲い込みをおこなうなら「ソーシャルネットワークサービス(SNS)」がおすすめです。
例えば、

  • 店舗スタッフによるTwitter
  • おしゃれスナップ風にしたInstagram
  • 自社商品の活用方法を短縮動画にまとめるTikTok

上記3つのようにSNSの特性を生かして情報を提供すると、自社ブランドのファンを増やせる可能性があります。

ポイントは、顧客からの支持率を意識すること

顧客の囲い込みにはあらゆる戦略が必要でしょう。
しかし、最も重要なポイントは顧客からの支持率を意識することです。
商品やサービスが顧客から支持されることでブランド価値が高まり、自社の認知度も上がります。囲い込みによってファン化した顧客が増えると、自社商品のリピート購入で売上に貢献してくれるようになり、利益の拡大へとつながっていくでしょう。

顧客の囲い込みで得られるメリット

企業に対する信頼や愛着心を抱いてもらえる顧客の囲い込みをマーケティング施策として取り入れることで、以下のような3つのメリットが得られます。

メリット1:顧客獲得コストが低くなる

顧客の囲い込みは顧客獲得コストが低くなります。
新規顧客獲得にかかる営業費や広告費といったコストは、既存顧客の5~10倍といわれています。

囲い込みで定着している既存顧客の場合、自社商品やサービスを知っているので商品説明は不要である上、すでに一定の信頼を得ているため新規顧客と比べて購入のハードルも低く、売上当たりのコストを下げられます。

メリット2:収入が安定する

顧客の囲い込みには収入が安定するメリットもあります。自社商品のファンになった顧客は、信頼と愛着心をもって商品やサービスを継続購入してくれます。

リピート顧客による継続的な商品の購入は、安定した売上の確保につながるので、新商品の開発や新サービスの展開にコストを割けるようになるでしょう。

メリット3:顧客データが蓄積できる

顧客がどういう状態でどのような商品やサービスを購入しているのかを把握することは、マーケティングにおいてキーポイントになります。

顧客の囲い込みには、継続購入する既存顧客データを多く蓄積できるメリットがあります。こういった既存顧客のデータは顧客のニーズや好みの傾向を把握し、商品開発・新サービスなどを展開する際の資料として役立つでしょう。

顧客の囲い込みに役立つ施策事例

顧客の囲い込みについて成功した3つの事例を紹介します。
紹介する事例には身近な施策もありますが、マーケティング目線と消費者の目線では違うものも見えてくるでしょう。今後のビジネス戦略を練る際の参考にしてください。

施策事例①航空会社の「マイル制度」

航空会社のサービスである「マイル制度」は、顧客の囲い込みに役立つ施策事例の一つ。
「マイレージサービス」とよばれるマイル制度は、航空会社のマイレージ会員となった顧客が、飛行機の搭乗やショッピングによって貯めた「マイル」を、航空券をはじめとする特典と交換できる制度です。

マイル制度の導入により、各航空会社は自社便の継続的な利用を顧客へ促すことに成功しました。

同じアライアンスに加盟している航空会社や、それぞれの会社と提携している航空会社の利用でも共通でマイルを貯められることも、顧客から選ばれるように考えられた戦略でしょう。

施策事例②クレジットカード会社の「グレードアップ制度」

多くのクレジットカード会社が顧客の囲い込み戦略として導入しているのが、利用額に応じてランクアップしていく「グレードアップ(ステージアップ)制度」です。

カード会社は一定期間内の利用額に応じて、次の期間における顧客のランク付けをおこないます。カードの利用額によって発行されるポイントは、商品券やオンラインクーポンなどに交換可能ですが、顧客のランクが上がるごとに利用額に対するポイントの加算率も増えていくのがグレードアップ制度の特徴です。

この施策によって、ランクを上げてポイントをより多く獲得するために、買い物や公共料金の支払いを1社のカードにまとめる顧客が増えるでしょう。
カード会社はランクアップした顧客へさらに多くのポイントを付与して、囲い込みをおこなっていきます。

施策事例③「携帯会社」のデータ繰越制度

携帯会社による顧客の囲い込み戦略は、1ヵ月で使用しきれなかった無料通話分やデータ容量を翌月に繰り越せる「繰り越しサービス」です。

繰り越しサービスによって前月分の無料通話分やデータ容量を有効に使えるので、満足した顧客は契約中の携帯会社を継続的に利用するという、囲い込みの流れが作れました。

まとめ:既存顧客にプレミアム感を与えながら安定した利益が確保できる囲い込み

顧客の囲い込みは、既存顧客に自社のファンとなってもらい、商品やサービスを継続的に購入してもらうための重要な施策です。

プレミアム感を与えながら、企業が安定した利益を確保できる顧客の囲い込み。施策事例を参考にして、事業に適した戦略を打ち出しましょう。

商圏分析で市場を把握。新規出店の調査がスムーズに。

タグ : 既存顧客
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