インストアプロモーションとは?2種類の手法と実施のポイントを解説

店内で試食販売やPOP掲示などのプロモーションをおこなっているものの、売上に直結せず困っている方は多いのではないでしょうか。
店内の顧客に向けておこなう販売促進活動を「インストアプロモーション」といいますが、それぞれの施策を無計画に実行しても、成果をあげるのは難しいでしょう。
本記事ではインストアプロモーションの概要や手法、効果を上げるためのポイントを解説します。インストアプロモーションを体系的に知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
インストアプロモーションとは、店舗内でおこなう販促活動のこと
まず、インストアプロモーションと、対義語の「アウトストアプロモーション」を比較しながら解説します。
インストアプロモーション | アウトストアプロモーション | |
概要 | 店内の顧客に商品を認知させて購入意欲を高める販促活動 | 店舗までの動線や交通量などを踏まえて、店外でおこなう販促活動 |
施策例 |
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表で示したように、
インストアプロモーションが店内の顧客に向けておこなう販促活動であるのに対し、
アウトストアプロモーションは店外の顧客にアプローチするのが特徴です。
アウトストアプロモーションで来客数を増やし、インストアプロモーションで商品の購入につなげるため、どちらも必要な販促活動であるといえます。
インストアマーケティングとの違いを理解しよう
次は、類似した用語である「インストアマーケティング」との違いを解説します。インストアプロモーションの位置づけについて、合わせて理解しましょう。
「インストアマーケティング」とは、店内でおこなう、顧客の購買意欲を高めて売上につなげる仕組みの総称です。インストアマーケティングの考え方に基づいて、具体的な売り場づくりをおこなうことを「インストアマーチャンダイジング」といいます。
インストアマーチャンダイジングは、大きく2つの取り組みに分けられます。
スペースマネジメント |
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インストアプロモーション |
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このようにスペースマネジメントとインストアプロモーションは、どちらもインストアマーチャンダイジングに欠かせない要素です。スペースマネジメントは利便性を向上させる施策であるのに対し、インストアプロモーションは顧客の意思決定に直接関わる施策であるといえます。
それぞれの役割や目的を理解し、組み合わせて実行することで、より効果的な売り場の運営を実現できるでしょう。
インストアプロモーションの種類は大きく分けて2つ
ここでは、インストアプロモーションの手法を2つ解説します。それぞれの特徴を押さえ、売り場に適したプロモーションをおこなって売上アップにつなげましょう。
インストアプロモーションの種類1:価格主導型
「価格主導型」とは、商品価格を変動させて、短期間で売上を上げる手法です。通常価格から一時的に下げることで、顧客に商品購入のきっかけを与えられます。
しかし、値下げ状態が常態化すると全体の売上低迷につながるため、価格を下げる時間帯や期間の設定には注意が必要です。
価格主導型の施策例3選
価格主導型の施策を3つ選びました。それぞれの概要・具体例・注意点を押さえて、店舗に合う施策を取り入れましょう。
価格主導型の施策 | 概要 | 具体例 | 注意点 |
値引・割引・特売 | 通常より価格を下げて購買を促す、価格主導型の典型的な手法 |
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多用すると顧客が低価格に慣れてしまうため、おこなう時間帯や期間の選定に注意が必要 |
増量パック | 商品価格は据え置きで内容量を増やして、お得感アップ |
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自社製造の商品がない店舗の場合、メーカーに任せる形となる |
バンドル販売 | 同じ商品を複数まとめて、または関連商品を組み合わせて、値引販売すること |
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関連性のない商品をセット購入させる「抱き合わせ商法」にならないよう注意 |
最後の「バンドル販売」については、顧客ニーズを分析して組み合わせを考えると、客単価の増加と売上アップにつなげられるでしょう。
インストアプロモーションの種類2:非価格主導型
非価格主導型とは、商品の機能・効能・性能といった価格以外の価値を発信して、顧客の購買意欲を高める手法です。商品の魅力や付加価値を顧客に理解してもらえるよう、販促内容を工夫する必要があります。
非価格主導型の施策では直接的な売上効果がわかりにくいため、費用対効果を含めて導入を検討することがポイントです。
非価格主導型の施策例4選
ここでは、非価格主導型の施策例を4つ選んで解説します。それぞれの概要、メリット・デメリットを押さえて活用しましょう。
非価格主導型の施策 | 概要 | メリット | デメリット |
POP広告 | 商品棚やレジ横の商品に設置して、価格や性能などを直接アピールして購入を促す | 提案型にするなど、内容やデザインを工夫して顧客の潜在ニーズと購買意欲を刺激できる | デザインにインパクトがなければ、顧客の目に留まりにくい |
デモンストレーション販売 |
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顧客に実体験させることで、商品の認知につながり、購入のきっかけを与えられる | 顧客の興味を引く必要があるため、実演スタッフの力量が問われる |
デジタルサイネージ | 設置したモニターの音や動画で顧客の関心を引き、商品をアピールする | 映像の切り替えや動画コンテンツにすることで、顧客ニーズに合う、多くの情報を発信できる | 導入コストやランニングコストがかかるため、導入・運用前に検討する必要がある |
プレゼントキャンペーン |
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インストアプロモーションを実施する際のポイント2つ
ここでは、インストアプロモーションを実施する際のポイントを解説します。
- 店舗ごとに適した施策を選ぶ
- 施策の実施後は効果検証をおこなう
店舗ごとに適したプロモーションを進めるために、この2点を押さえておきましょう。
ポイント1:店舗ごとに適した施策を選ぶ
それぞれの店舗に合う施策を選ぶことが、インストアプロモーションをおこなう際の大きなポイントです。
インストアプロモーションは、数ある施策のどれかを実施すれば何らかの成果を得られるというものではなく、「店舗の特性や顧客ニーズに合う施策を選び、計画的に実施することで効果を期待できる手法」です。
店舗ごとに効果的なプロモーションを選ぶには、収集した顧客データや売上データを事前に分析し、店舗の特性を把握することが重要です。
ポイント2:施策の実施後は効果検証をおこなう
インストアプロモーションにおけるもう1つのポイントは、実施後に効果検証をおこなうことです。
しかし、オフライン施策であるインストアプロモーションの場合、オンライン施策と異なり、顧客が購買に至った経緯の定量化や可視化が難しいという問題があります。
そのため、施策の実施前と後で、売上や顧客の購買行動がどのように変化したかを分析することが大切です。
ID-POSを活用するとより正確な効果検証をおこなえる
インストアプロモーションの効果を可視化して検証するときに役立つのが、ID-POSです。
ID-POSを導入すると「誰が・いつ・どの商品をいくつ購入したのか」という、顧客IDに紐づいた購買データを収集できます。
ID-POSによって、プロモーション前後における顧客の購買行動やニーズの変化を分析できるため、より正確な効果検証をおこなえるでしょう。
ID-POSの必要性や活用例については、下記で詳しく解説しています。
まとめ:店舗に合ったプロモーションを選び、売上アップにつなげよう
- インストアプロモーションは店内の顧客に商品を認知させ、購入を促す手法
- インストアプロモーションには価格主導型と非価格主導型の2種類がある
- 施策実施後は効果検証をしよう
来店している顧客の購買意欲を高めるためにおこなう販促活動が、インストアプロモーションです。来店顧客の行動パターンや購買行動を分析し、価格主導型と非価格主導型から適した手法を選び、売上アップにつなげましょう。
プロモーションを実施した後は売上や購買行動の変化を分析して検証をおこない、どれほどの効果があったのかを明確にすることも必要です。
インストアプロモーションは顧客の行動や感情に訴える施策が多く、明確な数値だけでの効果測定が難しいため、効果測定の精度を上げる手段として、ID-POSの導入をおすすめします。ID-POSで購買データと顧客データを紐づけることで、プロモーションの効果をより正確に把握できるためです。
これからインストアプロモーションを始める方には、まず簡単な施策から実行してみることをおすすめします。施策を実施した後は効果測定をおこない、改善策を考えましょう。