小売の成功を左右する戦略とは?重要な5つの要素を解説

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小売業界では顧客や地域のニーズやトレンドを常に意識し、都度状況に適した商品展開や販促活動をおこなわなければなりません。しかし、小売店の経営は日々の業務が多く、作業に追われがちです。店舗業務をおこないながら、さまざまな要素に対してアンテナを張り続けるのは、難しい場合もありますよね。

そこで重要となるものが「小売ミックス戦略」です。小売ミックス戦略を今後の営業計画に取り入れると、より効率的に売上を伸ばし、店舗経営を成功へ導けるでしょう。

この記事では、小売業の成功に必要な小売ミックスとはどのような戦略なのか、その必要性や戦略の内容などを解説します。基本的な考え方や必要性を理解して、これからの店舗経営に生かしてください。

商圏分析で市場を把握。新規出店の調査がスムーズに。

小売店特有の視点で設計された「小売ミックス戦略」とは

「小売ミックス戦略」とは商品・価格・立地など、店舗の運営や営業方法に関わる要素の組み合わせでアプローチをかけて、効果的に販売することです。この考え方をマーケティングに取り入れることで消費者のニーズを満たし、商品の売上をアップさせる経営がおこなえます。

小売店の業務内容は非常に細分化されており、仕入れや陳列・販売だけでなく、販促活動・エリアマーケティング活動など多岐にわたりますが、このそれぞれに小売ミックス戦略が活用できます。

例えば、

  • エリアマーケティングで自店舗の商圏を分析し、住民の特性を見て取り扱う商品を選択する
  • ターゲット層に対して最適な販促手法を練る
  • 顧客に合わせた店内の装飾・POPを作成する

こういった観点から、商品を購入してもらうための施策を戦略的に立案、実行できるのです。

顧客相手のビジネスをおこなう小売業において、顧客ニーズを満たし商品を購入してもらうことを意識したマーケティングは必要不可欠です。小売業に必要な要素が詰まった「小売ミックス戦略」に基づいたマーケティングをおこなえば、顧客が求める理想に近い店舗作りを目指せるでしょう。

小売ミックス戦略に不可欠な5つの要素

小売ミックス戦略は、

  1. 立地
  2. 施設
  3. 商品
  4. 価格
  5. プロモーション

この5要素によって構成されます。

店舗営業に大きな影響を与えるこの5つは、小売店に従事する方であれば耳にすることも多いでしょう。しかし、曖昧な認識のまま戦略を組み立てていくと、どこかでずれが起きてしまう可能性もあります。
まずは各要素の内容を整理して、重要性を再確認してください。

小売ミックス戦略の要素1:立地

小売ミックス戦略における1つ目の要素は立地です。
ビジネスの世界では、出店の成功は立地が7割を握っているといわれています。立地はそれほど重要な要素であるため、新規出店時には店舗のコンセプトや取扱商品に合ったエリアをよく吟味して出店候補地を選んでください。

利用者=ターゲットに合わせた出店コンセプト+立地選びを

どれほど品ぞろえが良く良心的な価格で商品を提供していたとしても、顧客が暮らす住宅地から遠かったり、駅から自宅への導線から大きく外れていたりすると利用しづらいものです。特に買い回り品を購入する場合、駅や自宅から徒歩数分の立地にある店舗を選ぶ人が多いでしょう。

他にも、駅前の店舗を利用するサラリーマンと住宅地周辺の店舗を利用する主婦とでは、購入する商品は異なります。そのため、自店で販売する商品はどういったエリアに適していて、どこに出店すべきかを把握しておくのも重要です。

営業中の既存店であっても立地の重要性は変わりません。立地は店舗の営業方針やコンセプト、取り扱う商品などをブラッシュアップできるため、常に注視しておくべき要素といえます。

小売ミックス戦略の要素2:施設

2つ目に不可欠な小売ミックス戦略の要素は施設です。
店舗のコンセプトと内装や雰囲気が合っているか、買い物しやすいレイアウトになっているか、買い物中の環境は問題ないかなどをチェックしていきます。

陳列が乱雑で商品を手に取りにくかったり、見づらいPOPがあったりすると顧客の購買意欲が削がれてしまいます。小売店では、商品そのものだけでなく内装や陳列、清潔さなども売上を伸ばす大切な条件です。

“施設”のポイントは、“快適な買い物体験”を演出することも重要

小売ミックス戦略で大切にするべきことは、売り場や陳列だけではありません。店内照明の明るさやトイレの清潔さ、店内BGMの大きさ、室内の温度など、快適に買い物を続けられる環境も重要です。雰囲気や居心地が悪いと店舗の印象も悪くなり、購買意欲だけではなく来店意欲自体がなくなるでしょう。

小売ミックス戦略の要素3:商品・品ぞろえ

小売ミックス戦略に欠かせない3つ目の要素は商品です。顧客の購買につなげるためには、魅力的な商品を提供する必要があります。

商品の購入につなげるためには商圏分析をおこない、商圏の顧客ニーズを推測しましょう。分析結果をもとに、顧客となる周辺住民のニーズに合った品ぞろえをします。

“品ぞろえが豊富”というアピールも有効

品ぞろえが豊富であるという印象も、購買意欲が促進されるポイントです。ひとつの店舗で必要な物がすべてそろう、売り場でいろいろな商品を比較検討できるなど、顧客にとってのメリットをアピールできれば、その後も優先的に自店舗を利用してもらえます。

トレンドに合わせた商品の販売も重要なポイント

さらに、トレンドをつかむことも大切です。
市場で売れている商品やメディアで話題を集めるアイテム、シーズン需要が高い品物などを適時取りそろえることで、顧客に「今、気になるものがこの店で手に入る」と印象づけられます。

小売ミックス戦略の要素4:価格

4つ目の小売ミックス戦略における要素は、価格です。
価格は小売店において利用者の購買意欲を大きく左右する要素であるため、多角度からの視点による分析に基づいた、最適な設定をおこなわなければなりません。

小売業には、
コスパ重視の業務スーパー・ホームセンターのように利益の低い商品を低価格で提供する「薄利多売型」の企業や、
家電量販店のような、一つ一つの価格を高めに設定して少ない販売数で利益を得る「厚利少売型」の企業
など、さまざまなビジネスモデルが存在します。両方に該当する商品を取り扱う企業もあるため、一概に「この価格戦略が適正だ」という指標は存在しません。

大切なのは自社のコンセプトやブランドイメージに合った価格帯と、ターゲット層が満足する価格帯を擦り合わせることです。

価格が与える印象も重要なイメージ戦略に

価格は自社のイメージ戦略にも大きな影響を与えます。
例えば、高級スイス時計が相場よりも極端に安い価格で販売されていたら、ターゲット層は「お得だ」と感じるよりも「偽物なのでは」「正規のブランドではないのかもしれない」と考える可能性があります。

価格戦略を組み立てるときは市場の相場感をよく分析し、価格調査などで顧客の理想を探りながら自社の適正価格を導き出しましょう。

価格設定時に商圏ポテンシャルを分析・把握したい場合は、年収データ(年収別世帯数推計データ)が役立ちます。

小売ミックス戦略の要素5:プロモーション

小売ミックス戦略に必要な最後の要素は、プロモーションです。
プロモーションとは、顧客に購入を促すためにおこなう一連の活動を指します。試食や実践販売、サンプル配布、イベントの実施などがプロモーションの一例です。こういった施策をおこなうことで顧客とコミュニケーションを取り、顧客の購入意欲を促進させます。

商品の良さを知ってもらうのもプロモーション

お買い得な目玉商品や優れた商品を提供していても、存在が認知されなければ売上につながりません。商品やサービスの特徴や購入して得られるメリットを顧客に理解されなければ、購買意欲は高まらないでしょう。多くのターゲット層に商品を訴求して販売チャンスを生み出すには、プロモーション活動が大きな鍵となります。

「このお店で買いたくなる」と感じてもらえるサービスも重要

また、セールスプロモーション以外のサービスも、顧客満足度を高めるのに効果的です。カスタマーサービスや返品交換対応、配送、クレジットやキャッシュレス決済などの便利なサービスを積極的にアピールすることで、顧客の「この店で買いたい」という気持ちを刺激できるでしょう。

集客を向上させるためには、商品を売り込むと共に店舗自体の価値をアプローチする必要があります。店舗の知名度を高めて来客数が増加すれば、売上の向上にも効果は発揮されるでしょう。

小売ミックス戦略にはエリアマーケティングが必須

小売ミックス戦略を実施するには、まずはエリアマーケティングを、つまり地域ごとの特性に合わせたマーケティング戦略を練る必要があります。

繁華街は夕方から夜にかけて人が集まる一方で、ビジネス街は夜間の人口が少なくなりがちであるというように、地域によって特徴は異なります。住民の年齢や職業、ライフスタイルも地域によって全く違うでしょう。

地域で必要とされる店舗になるには、こういった地域差をマーケティングに反映させ、それぞれのエリアに適した販促や店舗作りをおこなう必要があります。

小売ミックス戦略ではデータの情報収集でニーズをつかむこと

小売ミックス戦略を取り入れた経営をするうえで重要なのは、事前にエリアの情報収集をすることです。住民の性別や年齢、店舗の利用時間帯などを調査し、地域特性や住民属性を把握しましょう。商圏が重なるライバル店を調査して顧客の動きや取扱商品の動向を分析することも、成功のモデルケースとして参考になります。

エリアマーケティングで地域のデータを収集すると、その地域で生活を営む人々のニーズがわかってきます。その情報を小売ミックス戦略に落とし込んで営業活動をおこなえば、自然と商品が売れるようになるでしょう。

まとめ:小売店成功の鍵は小売ミックス戦略と情報収集

  • 「小売ミックス戦略」とは、小売業特有の要素を組み合わせて経営計画を立てること
  • 立地、施設、商品、価格、プロモーションが小売業で特に重要な要素である
  • エリアマーケティングによって収集したデータが、小売ミックス戦略の精度を高める

小売ミックス戦略とは、小売業で取り入れるべき要素の組み合わせに注目して、さまざまな視点で店舗や商品をアピールする戦略です。商品を販売するためには、顧客の「買いたい」「利用したい」という思いを強める環境づくりや、商品を知ってもらうための販促施策が必要となります。

小売ミックス戦略で立地や施設の環境、価格、商品の品ぞろえ、プロモーションといった売上に影響を与える要素を見直してブラッシュアップすることで、店舗経営を安定させ、売上向上や規模拡大を目指せるでしょう。

小売ミックス戦略を実施するためには、情報収集が必要不可欠です。顧客がどのような商品を望んでいるかがわからなければ、適切な戦略を立てられません。特に新規店舗を出店するときは事前に綿密なエリアマーケティングを実施し、店舗が開業する地域の状況を把握してください。エリアマーケティングのデータを元に小売ミックス戦略を組み立て、小売店経営を成功させましょう。

商圏分析で市場を把握。新規出店の調査がスムーズに。

タグ : 小売 店舗 店舗マーケティング 販売促進
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