店舗の売上分析で業績アップ!売上分析の重要性や役立つ手法を経営に活かそう

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店舗の業績アップには、売上分析が重要であることをご存じでしょうか。売上を伸ばすには、数値をもとにした客観的な分析が欠かせません。

そのためには、売上分析の重要性を理解し、ポイントを押さえておく必要があります。

この記事では売上分析をおこなう際に重要となるポイントや押さえておくべき用語、分析に役立つ手法を解説しますので、店舗運営の参考にしてください。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

店舗売上を上げる分析の重要性とは?

「売上分析」とは、自店舗の売上関連データを活用しておこなう店舗分析を総称したもので、効果的な店舗運営や売上向上のために欠かせません。

売上分析は、自店舗に求められているニーズや実際の商品とのズレなどを客観的に把握することがポイントです。売上という確実な数値を基に分析をおこなうことで、主観が入りにくく、より正確なデータを得られます。

分析の際は、顧客層の年齢層や需要の変化などを売上データから読み取り、ターゲットに合わせたアプローチ方法や、売上低迷の要因を特定することが重要です。

店舗の売上分析は細分化しておこなうべき

売上分析の効果を高めるためには、売上に関するデータを細分化することが重要です。売上をひとまとめにして考えるのではなく、店舗別、月別(または週別)、顧客別、前年同月比など複数の方向から分析することで、より具体的な情報を得られます。

分析の前に、売上分析でどのような課題を解決したいのか、結果を何に生かしたいのかをあらかじめ考えてから分析手法を決めましょう。

売上の悪い店舗を抽出して販促を打ちたい場合は、店舗別の売上分析が役立ちます。各店舗における売上の推移や傾向を比較し、売上が低迷している店舗を特定して問題点を確認したうえで効果的な販促策や改善策を実施することが、業績の向上につながります。

売上を分析するために覚えておきたい用語

売上分析をおこなううえで、いくつか覚えておくべき用語があります。この章では「売上の仕組みを理解するための3つの要素」と「売上と利益の違い」に分けて解説します。

売上の仕組みと必要な3つの要素

売上の分析において重要な要素は、来店客数・購買率・平均客単価の3つです。
売上は「売上=来店客数×購買率×平均客単価」の計算式で算出できます。

3つの要素の概要と計算式をまとめました。

来店客のうち、実際に購入した割合

要素 概要・計算式
来店客数 店舗を訪れた顧客の数
店舗内に入った人数をカウントして求められる
購買率 <計算式>
購買率=購買客数÷来客数
平均客単価 1人の顧客が平均的に購入する金額。
<計算式>
平均客単価=売上総額÷購買客数

計算式を知ることで、売上アップのためにどの要素を強化させるべきかを詳細に考察できます。来店客数・購買率・平均客単価の概要と計算式を理解し、業績の向上につなげましょう。

売上と利益の違いも把握するべき

売上と利益は売上分析において重要な言葉ですが、それぞれ異なる意味を持ちます。

「売上」とは商品やサービスが売れたことで得た代金です。

「利益」にはさまざまな種類があり売上から原価や販売費・一般管理費を引いた儲けは「営業利益」と呼ばれます。なお、販売費とは販促費用・広告費・販売員の人件費など、商品・サービスの販売に関する経費で、一般管理費とは会社の管理業務に必要な総経費を指します。

売上の分析だけでは経営の健全性を把握できないため、値入高や値入率といった指標を計算し、実際の営業利益を分析することが重要です。さらに、売上に対する営業利益の割合として、利掛率も重要な指標となります。

値入高・値入率・利掛率の概要と計算式をまとめました。

指標 概要・計算式
値入高 商品に設定した料金からコストを引いた期待値(期待できる利益)
実際に販売した際の利益とは異なる場合もある
値入率 売価に対する利益の割合
<計算式>
値入率=(想定売価-仕入原価)÷想定売価×100
利掛率 原価に対する値入高の割合
<計算式>
利掛率=値入高÷原価×100

これらの指標を計算し、売上だけでなく実際の利益を把握することにより、経営の健全性や改善点を明確にできます。

売上分析に役立つ分析手法3選

ここでは売上分析に役立つ、よく用いられる3つの手法を解説します。

  • 類似店分析
  • RFM分析
  • デシル分析

分析対象や目的の違いを覚えて、状況に応じた分析手法を活用しましょう。また、必要に応じてCRMなどの分析機能があるツールを活用し、現状における売上アップのための戦略を考えることがおすすめです。

売上分析の手法1:類似店分析

「類似店分析」とは「商圏の特性などが類似している既存店同士は売上も類似する」という前提のもと、それぞれの商圏の類似度を比較して売上予測を立てる分析手法です。この前提を利用して、出店候補地の売上高を予測することもできます。

類似店分析は、店舗同士の商圏類似度を比較し、ある店舗の売上が悪い原因を探すうえで効果的な手法です。商圏類似度が高い店舗同士は、同等の売上が期待できます。

他店舗との差を把握できるようになる

他店舗と比べて売上が低い店舗を発見した場合、商圏類似度が高い店舗をリストアップして比較・分析し、なぜ他店舗と売上差が生まれているのかといった課題を発見できることはメリットです。売上に関わる数値として、集客数や平均客単価、既存顧客の再来店率などを比較するとよいでしょう。

売上低迷の原因を探す際には、類似店分析に似た「ポジショニングマップ」も有効な手法の一つです。自社の店舗をポジショニングマップを作成して分類し、ある店舗にだけ偏ったポジションに位置していた場合は、売上が好調な他店舗と同じ施策を実行することで売上アップを狙いやすくなります。

売上分析の手法2:RFM分析

「RFM分析」とは、以下の3つの指標で顧客をグルーピングし、各グループの購入状況を把握するための分析手法です。

  • Recency(最新購入日):商品を最後に購入した日が現在に近い顧客を高評価とする
  • Frequency(購入頻度):購入頻度の高い顧客を高評価とする
  • Monetary(累計購入金額):購入総額の高い顧客を高評価とする

3つのデータを抽出し、それぞれの数値に応じたランク付けをおこないます。すべてのランクが高い顧客は、優良顧客のグループに分類されます。ほかにも、累計購入金額は高いが購入頻度の低いグループや、調査前日に商品を購入したが購入総額は少ないグループなどに分けられます。それぞれの顧客グループに合った対策を用意する必要があるでしょう。

分析結果をもとに、優良顧客にはさらに購買を推進するためのイベントやキャンペーンをおこなう休眠顧客に対しては再来店・再購入を促す施策を実行するなどの工夫ができます。

RFM分析のような顧客別の売上情報を元にした分析では、販売時点での情報を収集するシステムを搭載した、POSレジの集計データを活用することで効率的におこなえます。

売上分析の手法3:デシル分析

「デシル分析」とは、購入金額の高い順に顧客を10個のグループに分類して、各グループの購入比率や売上高構成比を計算し、その傾向を分析する手法です。

顧客をグルーピングする点ではRFM分析と似ていますが、RFM分析では購入日・購入頻度・購入金額の3つの要素でランクづけするのに対し、デシル分析では購入金額のみを分析対象とします。

デシル分析の目的は、重点的にマーケティングをおこなうべき優良顧客グループを発見することです。

また、ランクづけをおこなう売上分析の手法である「ABC分析」「クロスABC分析」も効果的です。詳しい内容や計算式については、以下の記事で解説しています。

まとめ:効果的な売上分析で店舗の売上アップを目指そう!

  • 売上分析は店舗運営や売上アップにおいて必須
  • 売上の仕組みや利益との違いを理解することがポイント
  • 分析手法を活用すると売上の効率的な分析が可能である

売上分析は、自店舗の売上に関連するデータを使っておこなう店舗分析で、店舗運営や売上向上に欠かせないマーケティングの取り組みといえます。

売上分析は、売上が発生する仕組みや売上と利益の違いをしっかりと理解したうえでおこなうことがポイントです。効果的な売上分析の手法はいくつか存在するため、目的に応じて使い分け、店舗の売上アップにつなげていきましょう。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : データ分析 店舗マーケティング 店舗運営
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