小売店ではデータ分析が必須!KPIの重要性と役立つフレームワークを解説

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小売店経営を成功に導くために重要なのはデータ分析です。しかし、データ分析が重要である意味や、実際の分析手順がわからない人もいるでしょう。

小売市場の規模は、2021年時点で150兆4,620億円であり、前年比2.7%増となっています。市場規模の拡大により、各小売企業は消費者の需要をより満たす事業の構築がポイントです。そのためには、質の高いデータ分析が欠かせません。

この記事では、知っておきたいデータ分析の考え方や、小売店のデータ分析に必要なKPI、フレームワークを解説します。データ分析をしっかりおこなって小売店の経営を成功させたい人は、ぜひ参考にしてください。

参考:「商業動態統計 時系列データ 業種別商業販売額及び前年(度、同期、同月)比 (https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result-2/index.html)」(経済産業省)をもとに作成

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小売店の経営成功はデータ分析が鍵となる

「小売業」を「流通業」と呼ぶ場合がありますが、流通業という単語は辞書にはなく、小売業と卸売業を総称した「流通産業」の俗称であるため注意しましょう。

小売業はさまざまな業態に分かれていますが、立てた目標の達成を目指すという基本的な経営プロセスは、どの業界・店舗でも共通しています。

店舗の状況や目標に対する進捗率など、課題をはっきりさせて業務に取り組むことで、達成に向かって一歩前進できます。反対に店舗の現状が明確でなければ、業務で改善すべき点を見つけることが難しくなり、目標達成も遅れることでしょう。改善点が見つけられると、お客様に提供する製品やサービスの質の向上にもつながります。

このように、データ分析業務を数値化し、現在の状況を洗い出して顧客満足度の向上を実現するために欠かすことのできないプロセスです。
早期の目標達成を目指す場合、データ分析を細かく実施してソリューションを考えることが欠かせません。

データ分析を効率化させるためのポイント

データ分析を成功させるためには、分析作業自体をはじめる前に、分析の目的を明確にし、必要なデータを収集する必要があります。集めたデータのソースが異なる場合は、データを可能なだけ統合することで、より正確で細かな分析をおこなえます。

また、POSシステムを導入している会社であれば、収集したデータを分析に活用することも方法の一つです。
BIツールと合わせて利用することで、売上予測の精度向上や人気商品の把握、在庫管理の効率化などの効率化につながります。ダッシュボード機能を使うと、画面上にレポートを作成して分析結果を視覚的に確認できます。

さらに、POSシステムよりも精度の高いデータを得るための方法として、AIなどを活用したDX化も検討すると良いでしょう。

知っておきたいデータ分析に取り組むための考え方

データ分析では、次に挙げる3つの考え方を理解しておくことが重要です。

  • 問題の理解
  • 分析手法への理解
  • 分析結果への理解

ここでは、それぞれの考え方を解説します。

データ分析の考え方1:問題の理解

データ分析の前に、自店舗が抱えている問題点や課題を正確に理解することが重要です。問題や課題がわからなければ正しい分析手法を選べず、分析で導き出す結論と課題を解決するための施策がずれるリスクがあるからです。

問題点が曖昧な場合は一度整理しましょう。

店舗の問題点をよく理解して、適切な分析手法をおこなって得られた分析結果を元に、問題解決のための正しい施策を選ぶことが重要です。

初期段階で問題点と課題を正しく理解しておくことで、途中で分析の目的がずれることを防止できます。

データ分析の考え方2:分析手法への理解

自店舗の問題点を把握したら、次は分析手法についての幅広い知識と理解が必要です。目的によって取るべき分析手法は異なるため、適切な手法を選択できるスキルも求められます。

分析手法を知らない状態で、あるいは正しく理解せずにデータ分析をおこなおうとすると、手法の選択やデータ処理を間違えてしまいかねません。それにより、課題の解決にはほど遠い分析結果となる可能性があります。

精度の高いデータ分析ができるよう、さまざまな分析手法を理解しましょう。正しい分析方法を用いれば、分析の精度が上がり、顧客の行動傾向やその理由などが見えやすくなります。

また、分析は手動でおこなうこともできますが、社内にノウハウがない場合などは、データ分析のサポート・支援サービスや、分析機能が搭載されたツールを使用するとマーケティング戦略を効率化できます。導入の際は、各サービスやツールの導入事例を見てから検討すると良いでしょう。

データ分析の考え方3:分析結果への理解

データ分析をした後は、分析結果の正しい理解が必要です。自店舗の問題をきちんと把握して分析を間違えずにおこない、正確な分析結果を得たとしても、正しく理解しなければ適切な解決策を選択できないためです。

分析に必要な資料の収集方法や集計方法、分析手法、問題・課題の捉え方などと合わせて分析結果を正確に理解しましょう。

分析結果を正しく理解した後は、問題点に対する適切な改善策を打ち出すことが重要です。ただし、分析が想定していた結果と大きく異なっていた場合、問題に対する理解や分析手法の何が違ったのか、またはどの段階でずれが生じたのかを考えなくてはなりません。
分析結果によっては目標達成のために経営方針を変える、といった柔軟性を備えておきましょう。

小売店のデータ分析に必要な「KPI」とは

「KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)」とは、達成したい目的へのプロセスにおいて、どれだけ達成しているかを測るための指標です。小売店のデータ分では重要な役割を持つ指標といえます。

KPIの指標を用いることで目標までの到達率を定量化でき、施策の改善や修正をおこないやすくなります。

KPIになる数値は豊富にある

小売店を経営していると、以下のようにKPIの指標となる数値は豊富にあります。

  • 来店客数
  • 購買率数
  • 平均客単価
  • 販売数
  • 回転率
  • 利益率
  • 来店率
  • 返品率

中でも特に重要なKPIは、売上との関連性が強い「来店客数」「購買率」「平均客単価」の3つです。

売上は「来店客数×購買率×平均客単価」の式で構成されるため、これらのKPIを達成することで、必然的に売上目標の達成へとつながります。
データ分析を始める際には、まずこの3つのデータを分析することで、自社の現状を理解し、今後の課題設定を効率化できます。

来店客数

来店客数は、来店したすべての客数を示す数値です。商品を購入せずに退店した顧客の数も含みます。
他のKPIの基準になる指標で、購買率や平均客単価も来店客数を元に算出します。

購買率

購買率とは、来店客数のうち実際に商品の購入に至った顧客数の割合です。購買率は、購買客数を来店客数で割って求めます。商品そのものの魅力はもとより、接客や店舗レイアウトなども購買率を左右します。

平均客単価

平均客単価とは、顧客1人あたりの購入額です。売上を購買客数で割ることで求められます。
セット販売やレジ横の「ついで買い」を促進させるといった工夫で、平均客単価アップを目指せます。そのほか、定期的に商品価格を見直すこともポイントです。

データ分析に使えるフレームワーク

KPIを用いてデータ分析をおこなっても、分析結果を業務に生かさなければ経営の成功にはつながりません。
データ分析に役立つフレームワークを効果的に用いて、業務改善や軌道修正、計画の変更などを随時おこない、目標達成に向かって業務を進めましょう。データ分析のフレームワークには複数の種類があり、代表的なものとして次のような手法が挙げられます。

  • PDCAサイクル
  • OODAループ
  • ABC分析
  • SWOT分析
  • アソシエーション分析
  • メトリクス分析

ここでは、汎用性の高い「PDCAサイクル」と「OODAループ」の2つについて解説します。

データ分析フレームワーク1:PDCAサイクル

PDCAサイクル小売店に限らず企業から個人まで幅広く用いられている業務改善のフレームワークです。PDCAは以下の頭文字を取った言葉です。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(評価)
  • Action(改善)

計画を立てて実行し、おこなったことを評価・分析して改善するというように、PDCAの流れに沿って業務を循環させて、生産性を高めていきます。

KPIはこの中のPlanやCheckのステップで、課題と現状を定量化する際に役立ちます。

データ分析フレームワーク2:OODAループ

OODAループ(ウーダループ)は、元々は戦術理論の一つとして考え出されたフレームワークです。速やかな状況判断や意思決定をおこなえることがOODAのメリットでしょう。

OODAはビジネスをはじめ、スポーツや私生活などさまざまな場面で使われています。OODAは以下の頭文字から成る言葉です。

  • Observe(観察:現状の把握)
  • Orient(状況判断:観察結果によって、どのように動くべきかを見極める)
  • Decide(意思決定:判断材料が乏しい場合は、観察からやり直すことも可能)
  • Act/Action(実行:意思決定した内容を実行する)

OODAループがPDCAサイクルと異なる点は、Observeを中心にして他の段階を進めていくことです。ループの進行が一方向とは限らないため、急な方針転換や外部の影響にも対応しやすいフレームワークです。

まとめ:データ分析を理解して店舗経営を成功させよう

  • データ分析には問題・分析手法・分析結果への正しい理解が必要
  • 小売店のデータ分析にはKPIを用いると効果的
  • データ分析にではPDCAやOODAといったフレームワークを有効活用しよう

テクノロジーの進歩や少子高齢化、さらにはコロナ禍の影響などによって、小売店の業態が変化しつつあります。そのため、小売店の経営を成功に導くためには、店舗の課題解決に向けた正確なデータ分析が欠かせません。

店舗が抱える問題やデータ分析手法に対する理解を深め、分析結果を正しく読み取ることが、経営を成功させるための適切な施策の立案と改善につながります。

KPIやPDCAサイクル・OODAループを活用すると、データ分析を効率的に進めることが可能です。この記事を参考にして、店舗経営を成功に導くためのデータ分析に取り組んでいきましょう。

客層の変化に気づいたら 既存店の商圏分析に

タグ : 分析手法 店舗マーケティング 店舗運営
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