コロプレスマップは情報を可視化できる地図!基礎知識を紹介します

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エリアマーケティングツールには「コロプレスマップ」という機能があります。これはマーケティングの精度をより高める機能ですが、具体的にどのような特徴があるのか、どう使えばよいかわからない方も多いのではないでしょうか。

コロプレスマップは、地域ごとの分布データを把握しやすく、エリアマーケティングの際に非常に役立つ地図です。今回は、コロプレスマップの基本情報や利点と欠点、適したデータの種類などを解説します。

コロプレスマップを活用して店舗経営に生かしたい方はぜひ最後までご覧ください。

コロプレスマップは統計地図の一種

「コロプレスマップ(Choropleth Map)」とは、行政区画単位ごとの集計データを色やテクスチャで表した地図です。「区画別段彩図」「階級区分図」とも呼ばれます。地域ごとの数値をマップ上で比較・可視化できるため、視覚的に地域の特性やニーズを把握しやすく、ターゲットへの最適なアプローチを考えやすいことが特徴です。

コロプレスマップでは、データ値と地理的情報の混同を防ぐために、密度・平均・比率などの正規化されたデータを使う場合が多いです。

データを表現する際は、階級分類と呼ばれるデータのグルーピングが重要なポイントであり、分類の数と手法が視覚情報に大きく影響します。コロプレスマップに求められるのは「意味のある数への分類」です。色数が多すぎてもかえって識別しにくくなるため、階級分類の数と手法が凡例に載っているマップを選ぶことが好ましいでしょう。

コロプレスマップが持つ利点と欠点とは?


集計したデータが視覚的に把握しやすくなるコロプレスマップですが、欠点もあります。ここではコロプレスマップが持つ利点と欠点をそれぞれ解説します。

利点:情報を認識できる可視性の高さ

コロプレスマップの最大の利点として、情報を認識できる“可視性の高さ”が挙げられます。マップ上に色やテクスチャで情報(統計・推計データ、顧客データなど)を反映させるため、単なる数値データとは違い、ひと目で数値の差を認識できることが強みです。

コロプレスマップによってターゲット層の分布やターゲットの購買力などを視覚的に把握できるでしょう。

コロプレスマップを商圏のターゲットに合わせたアプローチの検討やターゲットの再選定、新規出店時の顧客分析などに活用することで、店舗の経営安定や売上の最大化が期待できます。

欠点:行政区画のサイズが認識に影響する

コロプレスマップの色分けは行政区間ごとにおこないます。そのため「面積の大きい行政区間では、データ量が多く見える」という、認識への影響があることに注意しましょう。

領域の大きさと数値が混同するのを避けるには、密度や平均などを加味した数値を用いる必要があります。

例えば、領域内における面積の大小に大きく差がある場合は、面積をそのまま使用せずに「単位面積あたり」のような相対量にデータを変換したうえで、コロプレスマップに記載するとよいでしょう。

コロプレスマップに適した集計データ

コロプレスマップを使ったマッピングはすべてのケースで有効とは限らないため、状況に応じて手法を変える必要があります。

ここでは、コロプレスマップに適した数値化できる集計データと、適さないデータを紹介します。

数値化できるデータは相性が良い

コロプレスマップでの表示に適しているのは、人口密度や国民所得などのように数値化できるデータです。領域の大きさに左右されない数値データをテーマとすることで、コロプレスマップの利点を生かしやすくなるでしょう。

領域のマッピング方法が集計データとしてふさわしいかを十分に検討し、状況に応じて商圏の周辺にある都道府県も評価することがポイントです。周辺エリアも評価すべきケースとしては、首都圏の人の往来を合わせた経済活動などの集計データが挙げられます。

境界が無いデータは適さない

一方、コロプレスマップに適さないのは降雨量や天気、温度など、行政区画に当てはめられないデータです。

境界がないデータはコロプレスマップには適さないため、マップ上に反映させたい場合は「ディシメトリック・マップ(Dasymetric Map)」などを用いることが好ましいでしょう。ディシメトリック・マップとは、コロプレスマップの前提となる行政区画の境界と集計単位地区の境界を一致させないように処理をおこなった地図です。

ほかに、人口のように面積によって数値が変動するデータも、コロプレスマップには適さないでしょう。人口密度を表すと人の集中度を可視化できますが、コロプレスマップで人口分布を見た場合、人口が多ければ密度が低い地域でもマップの色が濃く反映されます。そのため、面積に影響されない統計データを扱うことが望ましいでしょう。

コロプレスマップの実際の作例を紹介

ここでは、コロプレスマップの実例として、マップマーケティング株式会社が提供している「年収別世帯数推計データ」を紹介します。

以下の画像は、2015年国勢調査と年収別世帯数推計2018 を使用して作成された、5km圏内の町丁目集計です。

行政区画の平均年収が色別に表示され、視覚的に対象エリアの特性を把握できます。

上の画像では「年収」の情報をマッピングしていますが、ターゲット層の分布や購買力を図れる項目でコロプレスマップを作成することで、顧客分析のほか、販売促進施策や店舗開発にも生かせるでしょう。

マップマーケティングが提供するエリアマーケティングデータ

コロプレスマップは、人口密度や年収などの単一データだけでなく、さらに踏み込んだ条件でマッピングすることで精度の高いマーケティング施策を実行しやすくなります。

例えば、エリア内で年収1,000万円以上をターゲットとする場合は「持ち家の世帯数」「借家の世帯数」などの条件に限定してエリアをリサーチすると、特定のターゲットに対する的確なアプローチをおこなえるでしょう。
マップマーケティングが提供している年収別世帯数推計データを活用すると、以下のようにターゲットの分布を可視化できます。
サンプルを見ると、年収1,000万円以上で持ち家を所有する世帯は山手線の外側に集中し、年収1,000万円以上でも借家に住む世帯は山手線の内側に集中していることがわかります。
このような特定の条件でコロプレスマップを作成して分析することで最適なマーケティングが可能です。

マップマーケティングが提供する年収データ及びツールは、こちらをご覧ください。

まとめ:コロプレスマップの利点と欠点を理解してエリアマーケティングに生かそう

  • コロプレスマップは、地域の特性を視覚的に可視化できる統計地図
  • 可視性が高いことが利点である反面、面積と数値が混同しやすいことが欠点
  • コロプレスマップは、数値化できるデータのマッピングに最適

コロプレスマップは行政区画単位で集計されたデータを色やテクスチャで地図上に表し、地域ごとの数値を比較できる地図です。数値データより視覚的に認識しやすい反面、領域の大きさと数値が混同しやすいため、密度や平均などの数値を用いることが好ましいでしょう。

人口密度や国民所得などの数値化できるデータの分析には向いていますが、降雨量や天気、温度などの境界がわかりにくいデータは分析に適さないため、別の手法を用いる必要があります。

コロプレスマップの特性をつかみ、自社のマーケティングで活用しましょう。

タグ : エリアマーケティング 分析手法 商圏分析 立地 立地分析
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