住宅ポイントデータで可視化するターゲットエリア分析と営業・販促戦略

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エリア営業や販促活動を実施する際、「移動ロスが多い」「反響が出ない」とお悩みではありませんか?広大な商圏からターゲット顧客を効率よく特定するには、勘や経験ではなく定量データの活用が重要です。

本記事では「住宅ポイントデータ」と「築年数データ」をGISツールで掛け合わせ、無駄のない営業活動を実現する具体的な分析手順をわかりやすく解説します。

エリア特性に応じたアプローチ手法の例も紹介するので、営業効率と成約率を最大化したい方はぜひご活用ください。

この記事で分かること
  • 営業・販促活動の最適化に「住宅ポイントデータ」を活用する手法
  • 住宅ポイントデータ×築年数データで、ターゲットエリアを数値化する手順
  • ポイントデータから割り出すエリア特性と営業・販促アプローチ例
今回の分析で使用する「住宅ポイントデータ」は、全国約3,300万棟の建物情報を収録したGISデータです。戸建て・マンション・アパートなど9つの建物分類をはじめ、階数や部屋数まで網羅し、狙いたい地域の住居特性をピンポイントで可視化します。

分析シナリオ|住宅ポイントデータで最適化する「築30年戸建て」へのピンポイント営業


多摩エリアを中心に地域密着型のリフォーム店を数店舗展開し、手厚い施工品質で着実に信頼を勝ち得てきた中堅リフォーム会社。

次なる成長に向けて選んだのは、「八王子市内・築30年程度の戸建て住宅」への集中アプローチでした。

事業規模 多摩エリアを中心に、地域密着型で数店舗を展開する中堅リフォーム・外壁塗装会社
自社の強み 自社施工による塗装・修繕クオリティの高さ
地域密着型だからこその迅速で丁寧なアフターフォロー
営業スタイル ターゲット物件を狙い撃ちしたポスティング・DM送付
エリアを絞り込んだ訪問営業

メンテナンス適齢期を狙う営業計画と立ちはだかる「広大さ」の壁

今回の営業計画は、メンテナンスの適齢期(築30年程度)を迎え、最も高単価な大規模修繕・リフォームの需要が見込める「1991年〜2000年築の戸建て」をターゲットに据えるという明確な方針がありました。

しかし、八王子市は東京都内で最も面積が広く、新旧の住宅地が複雑に混在しているため、ターゲット物件の特定が難しい状況です。

そのため社内からは「広い八王子市内を移動する労力で営業担当が疲弊するだけではないか」と懸念する声が挙がっています。さらに、議論の結果3つの課題も浮き彫りとなりました。

  • 営業効率の低下
    広大なエリア内でターゲットが分散していると、営業活動の移動ロスが大きくなる
  • 販促費の浪費
    対象外物件への無駄なチラシ投函が増え、ポスティングの反響率が低くなりやすい
  • リストと地図の不一致
    築年数データだけでは地図上の位置と連動していないので営業ルートに落とし込めない

「無駄なアプローチを削ぎ落とし、自社の強みを活かせる営業・販促エリアの特定は可能なのか?非効率にならないのか?」

そんな疑問を定量的な数値で判断し、「ピンポイントな営業・販促戦略」の勝率を引き上げるため、社内では「築年数データ」に加えて「住宅ポイントデータ」を用いたGISツールによる分析を実施することにしました。

この記事で解説する4つの分析ステップ
  • STEP 1
    マクロ分析|築年数データで対象住宅が多い地域を大まかに絞り込む
  • STEP 2
    ミクロ分析|住宅ポイントデータで実際の住宅の密集度を重ね合わせる
  • STEP 3
    エリア評価|2つの独自指標を使って地域の優先度を4つに分類する
  • STEP 4
    戦略立案|地域特性に合った効果的な営業・販促方法を検討する

ステップ1|築年数データでマクロの傾向を把握

まず、分析対象である「八王子市全体」をマクロ視点で俯瞰し、需要の分布がどのようになっているか大きな傾向を捉えましょう。

そこで作成したのが、以下の築年数データを用いたヒートマップです。

※本マップは、エリアマーケティングGISの推計データを基に作成したものです

このヒートマップのもとになっているのは、「1991年〜2000年に建築された持ち家数」の推計値です。

分析時期を2026年として計算すると、この期間に建てられた住宅は築26年〜築35年を迎えています。この時期は一般的に外装塗装や水回りの設備刷新、リノベーションなど、大規模な工事の需要が高まるリフォーム適齢期です。

したがって、築26年〜築35年に該当する持ち家住宅が集中している濃い赤色のエリアほど、アプローチの優先度が高いと判断できます。

※本マップは、エリアマーケティングGISの推計データを基に作成したものです

5段階で分類したヒートマップの中で最も濃い赤色のエリアを抽出すると、中心部の西・北西エリアおよび南部の丘陵地や住宅街周辺にかけて、対象となる物件が多く集まっていることが分かります。一方で、西端の山間部や東側の境界に近いエリアなどは相対的に色が薄く、現時点での優先度は低いと判断できます。

このようにまずは大きな面でアタリをつけ、効率的にアプローチできるエリアを絞り込むことがデータ分析の第一歩です。

しかし、 このヒートマップだけではポスティングなどの具体的な営業計画を立てることはできません。なぜなら、このマップはあくまでエリア内における対象物件の推計数を示しているだけで、「どこにどのくらいの住宅が密集しているか」までは反映されていないためです。

そこで次に行うのが、第2のデータである「住宅ポイントデータ」との掛け合わせです。

ステップ2|住宅ポイントデータでミクロの傾向を重ねる

築年数データのヒートマップによって、対象物件が多く存在する大まかなエリアは把握できました。そこで、次に「その地域にどれくらいの住宅が存在しているのか」を住宅ポイントデータによって見ていきましょう。

今回は、住宅ポイントデータから建物分類「個人の家屋」を抽出し、地図上に青い丸印で表示しています。

※本マップは、エリアマーケティングGISの推計データを基に作成したものです

住宅ポイントデータを重ね合わせたことで、ターゲットエリア内における住宅の分布が明確になりました。

しかし、ただポイントを重ね合わせただけでは、具体的な意思決定に活用するのは困難です。マップを見た通り、エリアの大部分が住宅ポイントで埋まり、情報過多に陥ってしまうためです。さらに、住宅ポイントデータには築年数の情報は加味されていないため、このポイントがすべて対象物件というわけでもありません。

そこで、次のステップでは築年数データと住宅ポイントデータを使用して、各エリアを4つの特性で分類していきます。

【住宅ポイントデータと築年数データの概要・違い】

データ名 データの性質 メリット デメリット
住宅ポイントデータ 実測データ(点) 住宅一軒一軒の位置と密集度が分かる 築年数などの居住者の属性情報は加味されていない
築年数データ 推計データ(面) エリア全体の需要のボリュームを把握できる 具体的な建物の位置や密集度までは分からない

ステップ3|データから見抜く「4つのエリア特性」


可視化の課題であった過密な表示による視認性の低下を解決するためには、データを数値化し、客観的な指標をもとにエリアを仕分ける方法が効果的です。

ここでは、各エリアを評価するために2つの独自指標を設定しました。

指標1|100m四方あたりの住宅件数

(住宅ポイント数(件)÷ エリアの面積(㎢)) ÷ 100

これは、現場の移動効率を直感的に把握するための数値で、各町丁目の住宅密集度を「100m四方あたりの住宅件数」に換算して算出しています。密度が高いエリアほど、短い移動時間で多くのアプローチが可能だと判断できます。

指標2|対象物件の割合

1991年~2000年築の持ち家数 ÷ 住宅ポイントデータの件数

これはエリア内に対する反響率の確度を判断する指標です。
エリア内にある全住宅のうち、ターゲットとなる物件が占める比率を算出します。この数値が高いほど、無駄なアプローチを削減できると判断できます。

※本指標は、建物地図等のデータを元にした「住宅ポイントデータ」と独自の推計に基づいた「築年数データ」を掛け合わせた独自指標です。データの誤差や現地の状況と異なる場合があるため、あくまでアプローチの優先順位を決める目安としてご活用ください。

【例示】計算手順

実際のデータを用いて、どのように数値化が行われるのかを具体的な手順に沿って解説します。

住宅ポイント数 2100件
エリアの面積 0.8㎢
対象の持ち家数 421件

まず、住宅ポイント数をエリアの面積で割ることで、100m四方あたりにどれだけのターゲット住宅が密集しているかを算出します。

住宅密度 = (住宅ポイント数2,100件 ÷ エリアの面積0.8㎢) / 100 = 約26.25件

計算の結果、このエリアは100m四方の区画におよそ26件の住宅が密集していることが分かります。

次に、住宅数に対して対象の持ち家がどの程度の割合を占めているかを算出します。

対象物件の割合=対象の持ち家数421件 ÷ 住宅ポイント数2,100件 = 約20.0%

計算の結果、エリア内の建物のうち約20%、およそ5軒に1軒がターゲット物件であるということが分かりました。

このような計算を各町丁目に対しておこない比較・分析することで、どのエリアが効率がいいのか客観的に判断できるようになります。さらに今回は、各指標の「高い・低い」を基準に、エリアを4つの特性に分類することにしました。

エリア特性の分類 データの指標
最優先エリア 住宅密度:高い
対象物件の割合:高い
高単価狙いエリア 住宅密度:低い
対象物件の割合:極めて高い
将来のストックエリア 住宅密度:高い
対象物件の割合:極めて低い
完全除外エリア 住宅密度:低い
対象物件の割合:極めて低い

次のステップでは、それぞれのエリア特性に分類された町丁目を例に挙げて、エリア特性の深掘りや営業戦略の方向性を詳しく見ていきましょう。

ステップ4|エリアの特性と営業戦略を推察

※本マップは、エリアマーケティングGISの推計データを基に作成したものです

2つの指標をもとに、八王子市内の各町丁目を4つのエリア特性へと分類しました。

上記のマップは、その分類結果から代表的な4つのエリアを抽出したものです。
一見すると地理的に近いエリアであっても、定量データを用いた分析をおこなうことで、アプローチの優先度や選択すべき営業戦略が大きく異なることが分かります。

ここからは、これら4つのエリアをモデルケースとして取り上げ、各エリアの特性や営業効率を最大化するアプローチ例を解説します。

最優先エリア|住宅密度・対象物件の割合ともに高い

※本マップは、エリアマーケティングGISの推計データを基に作成したものです

西八王子駅の南側に位置するこのエリアには、格子状に整理された「個人の住宅」ポイントが高密度で並んでいます。さらに、住宅密度・対象物件シェアともに高い指標が算出されたため、最優先でアプローチするべきターゲットエリアだと判断できます。

このようなエリアは住宅同士の間隔が狭く移動ロスが少ないため、短時間で効率よくアプローチを重ねる戦略が適しているでしょう。

このエリアの特性を最大限に活かすアプローチ手法の例は、以下の通りです。

アプローチ手法 具体的なアクション 期待できる効果
ポスティング エリア内に対する集中的なポスティングを実施 時間当たりの配布効率が高く、集中投函の時間コストが減る
集中巡回営業 徒歩によるエリア内の巡回訪問営業 住宅同士が近いため、1日の訪問件数を増加できる
施工中の地域アピール 工事足場への看板設置や挨拶回り 「お隣がやるならうちも」という連鎖受注に繋がりやすい

このように、「面」での認知拡大と連鎖受注を狙うのが、最優先エリアにおける勝ちパターンとなります。

高単価狙いエリア|住宅密度が低く対象物件の割合が高い

※本マップは、エリアマーケティングGISの推計データを基に作成したものです

このエリアは、山林や緑地が面積の多くを占めるため、エリア全体の「住宅密度」は低く算出されました。

しかしマップを見ると、青い点が特定の区画にだけクラスタ状に偏って密集しているのが分かります。これは、1990年代に一斉に造成された大規模な住宅団地特有の構造です。同時期に一挙に開発されたため、この密集区画内にある戸建ての多くが同じタイミングでメンテナンス適齢期を迎えており、結果として「対象物件の割合」が極めて高くなっているのです。

建物全体の修繕・リノベーション需要が同時多発的に顕在化しやすいため、高単価な大型案件を複数狙う上で有力なターゲットとなります。

このエリアの特性を最大限に活かすアプローチ手法の設計例は、以下の通りです。

アプローチ手法 具体的なアクション 期待できる効果
プレミアムDM送付 改修時期を迎えた戸建てへ向け、事例をまとめた高級感のあるDMを発送 建物のライフサイクルに合わせた大型案件の潜在需要を刺激し、顕在化を促せる
ピンポイント営業 住宅ポイントで確認できる密集区域に対する集中巡回 移動コストを抑えながら、成約確度の高い顧客へ効率的に接触できる
施工中の地域アピール 外装塗装の基礎セミナーや近隣での完成見学会を案内 同時期に入居した住民に対して、安心感と信頼感をアピールできる

このように、エリア内の偏りを正確に見極め、ポテンシャルの高い密集区画に限定して良質なコンテンツを届けることが、高単価案件を獲得する可能性を高めるでしょう。

将来のストックエリア|住宅密度が高く、対象物件の割合が低い

※本マップは、エリアマーケティングGISの推計データを基に作成したものです

このエリアは、マップの通り住宅ポイントが整然と並んでいる、計画的に開発された住宅街です。そのため、全体の「住宅密度」は非常に高く算出されています。

しかし、ここは1990年代末頃から本格的に街開きがおこなわれたニュータウン地区の一部です。

街の歴史が比較的新しいため、建物自体の築年数も全体的に若く、ターゲットである1991年~2000年築の物件に該当する住宅はほとんどないと考えられます。指標の計算結果も、対象物件の割合は極めて低い数値となりました。

現段階での大規模リフォームの需要自体は限定的なエリアですが、今後5年〜10年経つ頃には一斉にメンテナンス適齢期を迎えるため、将来に向けて今から関係性を築いておくことが重要です。

このエリアの特性を最大限に活かすアプローチ手法の例は以下の通りです。

アプローチ手法 具体的なアクション 期待できる効果
お役立ち情報発信 売り込み感を排除した台風対策や住まいのお手入れ法などの情報誌を低コストで送付 リフォームが必要になったときに思い出してもらうための「マインドシェア」を中長期的に獲得できる
地域限定のWEB・SNS広告 住所で絞り込んで施工実績をアピールする広告を継続配信する 将来の顧客予備軍に対して、日常的な認知の刷り込みを行える
住まいの困りごと請け負い 雨どい掃除、網戸交換など安価で頼めるメンテナンスサービスの実施 フロントサービスを入り口にして顧客台帳に登録することで、将来に向けたパイプラインを作れる。

このように、現段階での過度な売り込み営業は避け、低コストな関係構築に徹することが、将来発生する大規模な改修需要を数年後に独占するための勝ちパターンとなります。

除外エリア|住宅密度・対象物件の割合ともに低い

※本マップは、エリアマーケティングGISの推計データを基に作成したものです

このエリアは、これまでの3つのエリアとは明確に異なり、営業活動の対象から除外すべきエリアだと考えられます。

マップを見ると、エリアの半分以上が空白地帯となっており、住宅ポイントがほぼ存在しないことが分かります。この広大な空白箇所が発生している理由は、エリアの大部分を占める企業の敷地や、鉄道の線路、緑地です。人が住む戸建て住宅を建築できないエリアが町丁目の大部分を占めているため、そもそもアプローチすべき住宅がごく一部にしか存在しません。

北西の一部にわずかな住宅ポイントがあるものの、築年数データのヒートマップでも薄い赤色で、ターゲット物件は少ないと考えられます。そのため、住宅密度・ターゲット割合ともに極めて低いこのエリアには、営業リソースを割く必要はないと判断できるでしょう。

まとめ|データ分析で実現する「最適化されたエリア営業」


広大なエリアでの営業・販促活動における最大の課題は、移動ロスや対象外物件への無駄なアプローチです。

今回解説した分析シナリオのように、マクロ視点の「築年数データ」でターゲット需要の集中地域を捉え、ミクロ視点の「住宅ポイントデータ」で密度や割合を数値化することで、攻めるべきエリアと戦略が自ずと明確になります。

勘や経験だけに頼る戦略から脱却し、定量データに基づいたアプローチへ転換することこそが、営業効率・成約率向上や販促費の最適化への近道といえるでしょう。

そのエリア営業、データの掛け合わせで精度を上げませんか?

築年数データで捉えた需要エリアに「住宅ポイントデータ」を重ねることで、
ターゲットの密集度や優先度がより明確になります。
2つのデータを組み合わせて営業効率を最大化する、最適な分析手法をご提案します。


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※記事内の分析は、特定の条件下でのシミュレーションに基づいた結果であり、実際の数値や実測値と完全に一致することを保証するものではありません。可視化にはエリアマーケティングGIS「TerraMapWeb」を使用しています。

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タグ : GISデータ エリア分析 住宅ポイントデータ 商圏分析 営業戦略 販促戦略
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