店舗の商圏調査は4ステップで取り組もう!メリットや活用シーンも解説

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店舗出店時は、地域選びに慎重になるものですよね。

「これまで都市部ばかりだったが、郊外地域にフランチャイズ向けの新規店舗を出店して成功するだろうか」
「できる限り効率的に出店計画を立てる方法はないのか?」
「出店計画を調べてみると商圏調査が大切だというが、どうしたらいいのだろう?」

このような不安や疑問が浮かんで、戸惑ってしまうかもしれません。

そこで本記事では新規店舗の出店を考えている方に、店舗の商圏調査の「目的」「メリット」「活用シーン」さらに「商圏調査の進め方」を紹介します。

商圏分析で市場を把握。新規出店の調査がスムーズに。

店舗の商圏を調査する目的は「市場の特定および分析」


店舗の商圏調査をおこなうのは、自店舗に合った市場を特定して分析するためです。

「商圏」とは、ビジネスをおこなう地理的範囲を指します。「商圏調査」は、出店しようとしている地域の将来性や行き来する人の属性などをデータから読み取り、自店舗の方向性がターゲットとなる層に合うかどうかを分析する調査です。

商圏調査は、さまざまなシーンで活用されます。例えば、出店・退店を判断するときや、チラシのポスティングをはじめとする販促施策の立案、顧客データ分析などです。

出店の際に「この辺りは競合店が少なく、人口も比較的多いのでは……」と、根拠のない感覚だけで決めては、無駄打ちになりかねません。出店後に売上の見込めない店舗とならないためにも、必ず商圏調査とその後の検証をおこないましょう。

商圏調査のメリットは「マーケティング精度の向上」

以下に、商圏調査によって得られるメリットを挙げます。

  • 業態に適した出店地域かどうかの判断が可能に
  • 地域特性から、チラシ配布地域の決定などの集客活動に活用可能に
  • 新規出店する場合、店舗の場所や規模など正確な出店計画を立案可能に
  • 既存店の集客改善が可能に
  • 既存顧客の居住エリアをもとにした顧客のセグメント化、クラスターデータの作成が可能に

商圏調査の大きなメリットは、店舗が狙うべき地域やターゲットを明確化して、施策の実行における根拠を得られることです。商圏調査をおこなうと、新商品の開発や広告の打ち出し、キャンペーンの実施など、さまざまなマーケティング施策の精度を高められます。

店舗の商圏調査はいつやるべき?3つの例を紹介


店舗の商圏調査は新規出店の地域選定、広告戦略の立案、既存店の顧客分析などのためにおこないます。

他にもさまざまな活用シーンがありますが、ここでは「店舗開発」「販促施策の立案」「顧客データ分析」の3つの活用例を紹介します。

商圏調査の活用例1:店舗開発

店舗の商圏調査は出店地分析や競合店分析、既存店分析、退店分析などの店舗開発に関するシーンで活用できます。出店地域の人口や世帯数、商圏バリアなどの商圏調査は、商圏分析ソフトなどを使うと簡単です。

店舗の営業時間を検討する際にも、商圏調査は役立ちます。例えば、当初は閉店時間を21時と計画していたものの、商圏調査によって一人暮らしの若者が多いとわかったため、閉店時間の延長を検討するなどです。

商圏調査の活用例2:販促施策の立案

店舗の商圏調査によって販促すべき地域が明確になるため、チラシ配布やDM投函、ポスティングなどの戦略を的確に立てられます。

下に挙げるのは、調査結果に基づいた販促戦略を立てることで得られるメリットです。

  • チラシの配布先を絞って広告費を削減できる
  • 自店舗のターゲット層に届くため、チラシの反応率が上昇する

 
商圏分析ソフトを使うと、簡単に家族構成や物件種別などの国勢調査データを地図上に反映できます。

例えば、商圏調査の結果、〇歳以下の子どもがいるファミリー世帯が多く住んでいるとわかると、広告のクリエイティブもその特性を生かした内容に特化させることも可能になるでしょう。ほかにも自動車・二輪車の有無、年収、未来人口数などのデータも使用できます。

商圏調査の活用例3:顧客データ分析

商圏調査は、会員データやPOSデータと地図情報を組み合わせて分析することで、既存顧客の属性を把握するのに役立ちます。また、地域の人口数や年齢の割合、世帯特性といったデータを組み合わせることで、既存顧客に対する理解をより深められます。

商圏調査によって年代別の人口統計や家族構成による世帯特性がわかると、出店すべき店舗の種別や規模の拡大・縮小、売り出すサービス・商品の選定などの判断精度を上げられるでしょう。

実際に、福岡県の地域密着型スーパーマーケット「ハローデイ」では、商圏分析ツールを活用して顧客データを分析し、マーケティングの効果を上げています。

店舗の商圏調査は4ステップで進めよう!

店舗の商圏調査は4ステップで進めます。

  • ステップ1:目的の洗い出し
  • ステップ2:商圏の決定
  • ステップ3:実査
  • ステップ4:結果の集計・分析

これから、それぞれのステップで何をするのかを具体的に解説します。

ステップ1:目的の洗い出し

商圏調査をおこなう前には目的を再確認して、言語化しましょう。

調査目的をしっかり定義しないと、無駄な分析をおこなったり、的外れな結果を出したりする場合があります。加えて、調査結果を今後の経営戦略にどう生かすかも考えておくべきです。目的の洗い出しと同じぐらい重要であるため、しっかり意識しましょう。

ステップ2:商圏の決定

商圏調査の目的を整理したら、出店候補地を中心とした商圏を決定します。このとき「j STAT MAP」のような、統計データを基にした地域人口や世帯数を抽出できる分析システムを使うと効率的におこなえます。

j STAT MAPは、総務省統計局が提供する地理情報システムです。統計地図の作成や利用者のニーズに沿った地域分析を可能とするさまざまな機能があるため、詳細な計画の立案に役立つ基本的な分析が簡単にできます。

【j STAT MAPの特徴】

  • 誰でも無料で利用可能
  • 総務省が公開する、最新の国勢調査データが使える(総務省が公開)
  • 統計グラフ作成機能やレポート作成機能搭載

参考:j STAT MAP

さらに詳細な商圏調査は有料ソフトの使用がおすすめ

また、高機能の有料版の商圏分析ソフト「TerraMapシリーズ」では、さらに詳細な商圏調査がおこなえます。

導入実績トップのエリアマーケティングGIS「TerraMapシリーズ」は、商圏調査をおこなう人の要望を実現するために開発された、地図とデータを用いて分析するマーケティングツールです。

【TerraMapシリーズの特徴】

  • わかりやすく直感的な操作が可能
  • 最新の国勢調査データを標準搭載
  • 信頼の実績、累計販売実績2,500社以上
  • 最新の全国チェーン店の情報を使った商圏分析が可能

ステップ3:実査

商圏が決まりましたら、業態や予算に合わせ、適切な方法で実査をおこないましょう。
実査の主な方法は、以下の5項目です。

  • ツールを使った商圏調査
  • 現地調査
  • アンケート調査
  • 既存顧客データの分析
  • 競合店調査

それぞれについて詳しく解説します。

ツールを使った商圏調査

店舗を出店するのはコストがかかります。そのコストには、現地調査の工数も含まれています。

現地調査は、出店候補エリア・物件に出向いて、現地の状況を把握するための調査です。

現地調査では時間をかけて現地へ移動して商圏調査をおこない、レポートにまとめる必要がありますが、数ある候補物件をすべて調査するのは難しいでしょう。また現地調査では把握しきれない情報もあるため、最初から現地調査をするのは現実的ではありません。

この現地調査の工数を削減し、出店候補物件の評価精度を上げるためには、ツールを使った商圏調査が重要です。ツールを使えば商圏内の顧客属性を把握できるため、事業のターゲットとなる顧客がどの程度存在しているのかがわかります。

現地調査

ツールを使った商圏の事前調査が終わったら、次は現地調査です。現地を歩き、周辺の環境を把握することで、データだけではわからなかった情報を得られます。

例えば、店舗への入りやすさはどうか、周辺の環境はどうなっているか、出店候補地の前をどのくらいの人・自転車・車がどのように通るのかといった情報が明確になります。

地図上での距離はそれほど遠くないように見えても、実際は渡りにくい線路や渋滞道路などもあるでしょう。他にも現地ならではの雰囲気もあるので、行って確かめる必要があります。

アンケート調査

計画通りの需要があるのかの判断や商圏内の住民の生活について調べるために、アンケート調査が必要です。現地調査による視察だけでは得られなかった住民の本音や、隠れていた新しいターゲットが出現する可能性もあります。

アンケート調査をするときは、家族構成、世帯年収、移動手段などの具体的な生活実態を把握することが重要です。

既存顧客データの分析

店舗を経営中で拡大のために出店しようとする場合、既存顧客データの分析が必要です。直接集めたデータであるため信頼性も高く、イメージしやすいでしょう。所有している既存顧客データをもとに、新規店舗や新商品開発などの事業拡大に活用できます。

競合店調査

競合店調査は必須といえるでしょう。「彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず」ということわざの通り、自分の店舗だけでなく競合店も知らなければ、ビジネスで勝つことはできません。

以下に主な調査項目をあげますので、一つ一つ調べましょう。

  • 競合店の立地
  • 駐車場の規模
  • 客層
  • 店舗面積
  • 営業時間と休業日
  • 商品ラインナップと価格帯
  • 特徴的なサービス

ステップ4:結果の集計・分析

ステップ3まで完了したら、結果を集計し、仮説と調査結果を照らし合わせて分析しましょう。

「目的の洗い出し」から「結果の集計・分析」までを一連の流れでおこなうことで、適切な戦略の立案・実行につながっているかを判断できます。以上の4ステップが店舗の商圏調査の流れです。

まとめ:店舗の商圏調査は4ステップで取り組もう!

  • 効率的に出店計画を進めるには、店舗の商圏調査が必要
  • 商圏調査はさまざまなシーンで活用できる
  • 店舗の商圏調査は4ステップで取り組もう

効率的な出店計画を立てるには、商圏調査をおこなって自店舗の市場を定め、分析することが必要です。店舗のオープン後にも競合店の出店などで商圏は変化していくため、商圏調査は出店前だけでなく、出店後にも定期的におこないましょう。

商圏調査の分析結果は、店舗開発や販促、顧客データの分析などに活用できます。

商圏調査は、まず目的を洗い出してから商圏を定め、ツールによる事前調査・現地調査などの実査をおこない、最後に結果集計・分析という4ステップで進めます。

感覚的な自己判断ではなく、商圏調査によって地域の特性を正確に把握したうえで出店の判断をすることが、成功の近道です。新店舗の出店地を効率よく探したい方や販売促進のコストを下げたい方はぜひ、商圏調査を取り入れてみてください。

商圏分析で市場を把握。新規出店の調査がスムーズに。

タグ : エリアマーケティング 出店戦略 店舗マーケティング 店舗開発 販促分析 販売促進
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