位置情報データを活用するには?3つのデータとマーケティングへの活用方法

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通信インフラが発達した現代において、位置情報データの活用は欠かせません。位置情報データを立地選定や顧客分析に活用することで、マーケティングの精度も向上します。

本記事では、代表的な3つの位置情報データと取得方法、マーケティングへの具体的な活用方法を解説します。

活用例もまとめましたので、「位置情報データを使って出店計画を成功させたい」「販促候補地を選ぶためにデータを活用したい」という方はぜひ最後までご覧ください。

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位置情報データとは?代表的な3種類のデータと取得方法

位置情報データは、スマートフォンやその他のモバイル端末から取得される「位置」に関する情報です。緯度経度座標や住所、滞在時間、移動経路といった空間情報を含みます。

マーケティングで活用されている位置情報データは、大きく3つに分類されます。

  • GPSデータ
  • Wi-Fiデータ
  • 携帯電話基地局データ(人流データ)

それぞれの特性を正確に理解することが、自社の目的に適したデータの選択につながります。

GPSデータ

「GPSデータ」は、スマートフォンのアプリケーションから取得される、緯度経度の「点」情報をベースとした高精度な位置情報です。複数の測位データを組み合わせることで、顧客の移動フローを時系列で捉えられます。

顧客の移動経路や店内の滞在時間を詳細に分析できるため、来店前後の行動パターンを把握する際に役立ちます。単一地点の人数カウントではなく、「どこからどこへ移動したか」といった動的な分析に適しています。

《GPSデータの取得方法》

  • 自社のアプリケーションなどで、顧客に位置情報利用の許可を得た上で収集する
  • 複数のアプリケーションから集約された位置情報データを購入する

GPSデータの統計精度は、位置情報を取得する対象アプリケーションの利用者数に比例します。導入する際は、対象アプリケーションの月間アクティブユーザ数、位置情報の取得頻度(最短間隔)、データの連続性などの確認が必要です。

Wi-Fiデータ

「Wi-Fiデータ」は、店内に設置した複数のWi-Fiによって検知される位置情報です。3種類の中では最も測位精度が高く、店内の位置を細かく特定できるため、コーナー別の滞在時間が分析可能になります。

ただし、位置情報を取得できる範囲はWi-Fiの設置箇所周辺に限定されるため、建物全体の人流や商圏外の顧客行動を追うことはできません。投資効果を最大化するには、店舗設計の段階でWi-Fiスポットを戦略的に配置することが重要です。

携帯電話基地局データ(人流データ)

「携帯電話基地局データ」は、携帯電話の基地局情報から推計される、人々の流動を示すデータです。母集団が大きく、人数推計の精度も高いことが特徴です。

広範囲のエリア分析に優れている基地局データを活用することで、時間帯別・曜日別の人口動態を把握できます。地域全体の人流傾向を分析する際に有効です。

携帯電話の基地局データは、大手通信キャリアやデータプロバイダーから購入できます。導入のハードルが低く、契約直後に分析を開始できることがメリットです。

なお、測位精度が基地局の設置間隔に関係していることから、調査エリアによってデータの粒度は粗くなるため、特定店舗の動線分析といった細かい場所の特定には向いていません。

位置情報データをマーケティングに活用する3つの方法


位置情報データは、単なる人流数の把握ツールではありません。適切に活用すれば、出店戦略、販促効率化、店舗運営改善といった、経営の重要な意思決定の質を大きく改善できるでしょう。

ここでは、以下3つの活用方法を解説します。

  • 商圏分析・出店計画への活用
  • 販促エリアの最適化
  • 顧客行動の可視化と店舗運営改善

自店舗で位置情報データを活用する際の参考にしてください。

商圏分析・出店計画への活用

位置情報データを使うと、出店候補地の商圏特性を客観的に分析できるため、立地選定や実地調査の精度が格段に向上するでしょう。

《位置情報データで分析できる商圏特性の例》

  • 時間帯別・曜日別の人口動態
  • 競合の顧客が居住しているエリアの可視化
  • エリアごとの集客規模や来店可能性の予測

例えば出店判断をおこなうには、出店候補地周辺の人流データと既存店舗の来店者データを使います。これらを照合して自社のターゲット層が集中しているエリアを特定し、出店可能性を評価した上で判断を下します。

位置情報データを活用した商圏分析・出店計画により、実地調査の効率化や出店候補地の優先順位付けの明確化、商圏の人口動態に合わせた初期在庫計画の策定が可能になるといったメリットが期待できます。

販促エリアの最適化

チラシ配布やポスティングといった販促エリアの選定にも、位置情報データを活用できます。

まず、既存顧客の居住エリアおよび勤務地周辺を分析し、来店につながりやすいエリアを特定します。特定したエリアに競合の商圏と自社の商圏を重ね合わせることで、競合の影響が比較的少ない「狙い目エリア」を発見できます。

《販促エリアの最適化によって期待できる効果》

  • 新規顧客獲得コストの削減
  • 販促物の配布エリア最適化による費用対効果の向上
  • 既存顧客へのアプローチ強化による来店頻度の向上

顧客行動の可視化と店舗運営改善

位置情報データを店舗運営に活用することで、顧客ニーズをより正確に把握し、経営判断の精度を高められます。

《GPSやWi-Fiから得られるデータ》

  • 来店前後の行動パターン(どこから来店し、来店後どこへ向かうか)
  • 店内での動線(購買に至りやすい経路)
  • 来店頻度・滞在時間
  • 複数店舗の来店記録

これらのデータによって、顧客ニーズの変化や見込み客数、最適な売り場レイアウトが明確になります。

特に、売上が伸びない店舗のブランドを再構築するときや在庫・発注管理では、過去の人流データから数時間〜数日先の需要を予測して、必要な施策を立てることができるでしょう。

位置情報データの具体的な活用例

ここでは位置情報データの活用例を2つ解説します。
それぞれの活用例を参考に、自社のマーケティングに取り入れましょう。

活用例1:ドラッグストアチェーンの出店計画

全国に数百店舗を展開するドラッグストアチェーンは、競合の相次ぐ出店により、新規出店時の立地選定精度の向上が急務となっていました。

そこで、携帯電話基地局データを活用し、候補地周辺の昼間人口・夜間人口を時間帯別に分析し、同時に、競合の顧客が居住しているエリアを可視化し、自店舖の想定商圏を重ね合わせました。

これにより、以下の効果が期待できるでしょう。

  • 出店前の売上予測精度が向上
  • 候補地の優先順位付けが明確化
  • 商圏の人口動態に合わせた品ぞろえ・発注計画の最適化

活用例2:郊外にある個人経営カフェの販促エリア最適化

郊外に店舗を構える個人経営のカフェでは、チラシ配布やポスティングのエリアを経験則に頼って選定していたため、販促予算の肥大化が課題でした。

そこで予算の効率化を図るために、自社のアプリケーションで取得したGPSデータを用いて、<来店頻度の高い顧客の居住エリア・勤務地を特定/span>。そのエリアを中心にポスティングやデジタル広告によるターゲティングを実施しました。さらに、店舗から半径500m以内にいる既存顧客に対し、プッシュ通知でクーポンを配信しました。

上記の戦略により、次の効果が期待できます。

  • 新規顧客獲得コストの大幅カット
  • 既存顧客の来店頻度の増加
  • 販促予算の配分基準の明確化

まとめ:位置情報データでマーケティングにおける判断の精度を高めよう

  • 位置情報データとは、モバイル端末などの位置を示す情報のこと
  • 位置情報データには種類があるため、目的に応じた使い分けが必要
  • 位置情報データはマーケティングのさまざまなシーンで活用可能

位置情報データには数種類あり、代表的なものはGPSデータ、Wi-Fiデータ、携帯電話基地局データです。GPSデータは動線の詳細分析、Wi-Fiデータは店内の分析、携帯電話基地局データは広域の人流把握に適しています。

マーケティングでは、商圏分析や出店計画、販促エリアの策定、顧客行動の可視化などの場面で位置情報データを活用できます。

位置情報データの導入を検討する場合、まずは自社で利用している販促アプリケーションやWebサイトから、ユーザの「位置情報利用の許可設定」が何%になっているかを確認してみましょう。この数値がデータの品質を大きく左右するため、現状を把握することが大切です。

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タグ : 人流データ 位置情報 位置情報データ
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