【図解】VRIO分析のやり方と具体例!5分で完成する手順書

「経営資源の分析にはVRIO分析が効果的だと聞いたけど、やり方がわからない」「VRIO分析は具体的にどう活用できるのか、イメージが湧かない」と悩む方は多いのではないでしょうか。
VRIO分析は正しく実施することで、自社の経営資源についての競争優位性を明らかにできるフレームワークです。
今回は、VRIO分析の分析項目ややり方について詳しく解説します。記事の後半ではVRIO分析の活用事例も挙げていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
【図解】VRIO分析のテンプレート
まずは、VRIO分析で使用する基本のテンプレートをご覧ください。この表に沿って分析を進めることで、自社の競争優位性を体系的に評価できます。
VRIO分析の詳しいやり方は、記事後半で詳しく解説します。
VRIO分析とは、自社の経営資源分析のこと
「VRIO分析」とは、自社の経営資源を4つの視点から評価し強みと弱みを分析するフレームワークで、1991年にアメリカの経済学者J・B・バーニーによって提唱されました。
要するに「自社の何が強くて、何が弱いのか?」を客観的に判断するツールとです。
経営資源には、
- 有形資産(土地・建物・設備など)
- 無形資産(特許・ノウハウ・ブランドなど)
- 組織能力(従業員のスキル・技術など)
が含まれます。
VRIO分析のメリットは、自社の競争優位性を明確にして強みと弱みを把握し、自社の成長につながる経営戦略の策定に役立てられることです。
VRIO分析で押さえておくべき4つの分析項目

VRIO分析の「VRIO」は、以下4項目の頭文字が由来です。
- Value(経済的価値)
- Rarity(希少性)
- Inimitability(模倣可能性)
- Organization(組織)
それぞれの分析項目について、詳しく解説します。
VRIO分析の項目その1:Value(経済的価値)
VRIO分析における「Value(経済的価値)」の分析では、自社が顧客にとって購入する価値のある商品やサービスを提供できているか、
つまり、“自社にどの程度の経済的価値があるのか”を、以下のような質問をおこなって評価します。
- 自社が顧客(市場)に与える利益や社会に及ぼす影響はどの程度か?
- 新たなビジネスチャンスはあるか?
- 顧客がリピートする価値はどの程度か?
VRIO分析の項目その2:Rarity(希少性)
「Rarity(希少性)」の分析では、自社の商品・サービスや技術、製造から販売までのプロセスについて以下のような質問で希少性を評価します。
- 他社と比較して、自社の独自性はどれほどあるのか?
- 市場における均衡度合いはどの程度か?
希少性はマーケティング戦略の成功に欠かせないため、競合他社よりも自社が優れている点を慎重に洗い出しましょう。
VRIO分析の項目その3:Inimitability(模倣可能性)
「Inimitability(模倣可能性)」は、次のような質問に対する答えから自社が持つ経営資源の模倣される可能性があるかどうかを評価します。
- 競合他社にとって、自社の経営資源は真似しやすいか?
- 競合他社が模倣しようとする場合、自社が損をする可能性は?
VRIO分析の項目その4:Organization(組織)
「Organization(組織)」分析するときは、経営資源を活用できるか、保有し続けられるか、以下のような質問によって評価します。
- 経営資源を十分に活用し続ける組織能力はあるか?
- 持続的な優位性があるか?
ただし、経済的価値(Value)・希少性(Rarity)・模倣可能性(Imitability)がそろっていても、自社が経営資源を活用できる体制になければ競争において優位性を保つことは難しいため注意しましょう。
VRIO分析のやり方を4ステップで解説

VRIO分析は、以下の4ステップでおこないます。
- VRIO分析の目的を決める
- 自社の経営資源を洗い出す
- 分析項目に「YES」or「NO」で答える
- 分析結果をもとに戦略を考える
それぞれの手順について解説します。
ステップ1:VRIO分析の目的を決める
VRIO分析に取り組む前に、まずは分析をおこなう明確な目的を決めましょう。
可能であれば現場には詳しい人材が同席し、分析前に目的を共有しておくことで、効果的な分析結果を得やすくなります。
ステップ2:自社の経営資源を洗い出す
目的が決まったら、分析対象となる自社の経営資源の棚卸しをおこないます。
このとき、商品やサービスを顧客が手にするまでの事業活動の流れとなる「バリューチェーン」のフレームワークを使って洗い出すと効率的です。
一般的には「ヒト・モノ・カネ・情報」という4つの経営資源が挙げられますが、店舗ビジネスにおいては「立地(Location)」も重要な資産となります。
例えば、駅徒歩1分という立地は、競合が容易に模倣できない強力な武器です。資金力のある大手企業であっても、すでに埋まっている一等地を後から確保するのは困難です。
《経営資源の例》
- ヒト:従業員のスキル、経営陣の経験、専門家の在籍
- モノ:設備、商品、技術特許
- カネ:資本力、資金調達力
- 情報:顧客データ、市場調査データ、ノウハウ
- 立地:駅前、商業施設内、住宅街など店舗の位置
ステップ3:分析項目に「YES」or「NO」で答える
棚卸した経営資源について、VRIOの項目に合わせて「YES」または「NO」で回答できる質問をしましょう。質問に対し「NO」が出た時点で評価を決定します。
評価結果は5段階の競合優位性に分類され、上位にいくほど優位性が高く、下位にいくほど優位性が低くなります。
- 最大限持続的な競争優位(VRIO):全項目で「YES」が出た場合
- 持続的競争優位(VRI):Organization (組織)で「NO」が出た場合
- 一時的競争優位(VR):Imitability(模倣可能性)で「NO」が出た場合
- 競争均衡(V):Rarity(希少性)で「NO」が出た場合</li>
- 競争劣位(どれにも該当しない状態):Value(経済的価値)で「NO」が出た場合
分析方法には、表を使った方法とフローチャートを使った方法の2通りがあります。

表を使ったVRIO分析の評価方法

フローチャートを使ったVRIO分析の評価方法
ステップ4:分析結果をもとに戦略を考える
VRIO分析で自社の競争優位性を把握できたら、分析結果をもとに経営戦略を考えましょう。戦略を立てる際は「V→R→I→O」の順番で優先的におこなうのがポイントです。
また、強みを生かすことだけでなく「NO」と回答した項目に対する強化も必要です。将来的な改善を意識して経営戦略を組み立てていきましょう。
VRIO分析の活用事例
ここでは、VRIO分析の活用事例について、都内の高級レストラン、地域密着型のスーパーマーケットを例に紹介します。
都内の高級レストランにおけるVRIO分析
都内の高級レストランは、高級な内装とサービス、独創的な料理・ドリンクメニュー、希少な食材や季節の特色を活かした料理提供が特徴です。また、ソムリエなど高度な専門知識を持つスタッフの在籍、予約困難な人気店としての知名度と需要の高さなども評価されています。
このような店舗において、それぞれのVRIOは以下のように分析できます。
- 経済的価値(V):ロケーションや内装デザインにこだわったラグジュアリーな店内で、味覚に訴える独自の料理やドリンクメニューを提供
- 希少性(R):シェフやバーテンダーなど、プロのスタッフによる独自のレシピで調理
- 模倣可能性(I):高品質な食材の調達や調理方法、経験豊富なシェフとスタッフの技術・センスは、他社がすぐに真似するのは難しい
- 組織(O):ホールスタッフのホスピタリティや顧客サービスの質が高い
地域密着型のスーパーマーケットにおけるVRIO分析
地域密着型のスーパーマーケットは、地域の需要や顧客の嗜好に合わせた品ぞろえを提供し、地域社会との密接な関係を構築しています。
地元の生産者や小売業者とのパートナーシップの強化によりコミュニティイベントやプロモーションを積極的に実施しており、地域住民に親しまれるアットホームな雰囲気が特徴です。
このような店舗において、それぞれのVRIOは以下のように分析できます。
- 経済的価値(V):地元生産者や小売業者とのパートナーシップによるコストパフォーマンスの高さ
- 希少性(R):地域の特性や需要に即した品ぞろえの提供
- 模倣可能性(I):地域の特性や地元のパートナーシップを再現するのは容易ではない・地域住民の認知度の高さや強いコミュニティの形成は競合他社が簡単に真似できない
- 組織(O):スタッフの地域社会への深い理解がある・地域コミュニティとの協力関係を構築し、維持している
VRIO分析の結果を戦略に活かす方法
VRIO分析の実行後は、マーケティング戦略に生かすことで初めて成果につながります。
ここでは、結果の活用方法を解説します。
結果を「5つの競争優位」に分類する
VRIO分析では、4項目の判定結果によって以下の5段階に分類されます。
| 競争優位性 | 判定のポイント | 戦略の方向性 |
| 持続的競争優位 | V・R・IはYESだが、OがNO | 組織体制を整え、強みを活かせる仕組みを構築 |
| 競争均衡 | V・RはYESだが、IがNO | 模倣されないための仕組み(特許取得、ブランド化等)を検討 |
| 競争劣位 | VはYESだが、RがNO | 希少性を高めるための差別化戦略を検討 |
| 競争劣位(深刻) | VがNO | その経営資源への投資を見直し、価値のある資源へシフト |
VRIO分析で明確になった弱みをどうカバーするか?
VRIO分析は「書いて終わり」ではありません。「NO」と判定された項目に対して、どのような対策を打つかが重要です。
よくある弱点と対策例を以下にまとめました。
| 弱点項目 | 具体的な対策例 |
| Organization (組織)がNO |
|
| Inimitability (模倣困難性)がNO |
|
| Rarity (希少性)がNO |
|
| Value (価値)がNO |
|
《VRIO分析の結果に基づく弱点解消の例》
例えば、個人経営のカフェで「Organization(組織)」が弱点の場合、店主一人では拡大できないことが課題になります。
この場合、無理に多店舗展開するのではなく、
- ECサイトで自家焙煎豆を販売する
- 「バリスタ養成講座」を開講して収益源を多角化する
- 単価を上げて少数の常連客を大切にする
といった戦略が有効です。組織拡大以外の方法で事業を成長させることがポイントです。
また、店舗ビジネスでVRIO分析をおこなう際、「立地」という経営資源を客観的に評価することも重要です。例えば「駅徒歩1分の立地」を持つ店舗の場合、この立地が本当に希少性(Rarity)や模倣困難性(Inimitability)の高い資源なのかを判断するには、周辺の競合店舗の分布や人口構成などのデータが必要になります。
こうした分析には、商圏分析ツールの活用が効果的です。自店舗周辺の人口構成や競合店舗の分布を地図上に可視化することで、「この立地は本当に競争優位性があるのか?」を客観的に判断できます。
マップマーケティングのGISツール「TerraMap」を活用すれば、自店舗周辺の人口構成や競合店舗の分布を地図上に可視化し、立地の競争優位性を客観的に評価可能です。
まとめ:VRIO分析をマスターして自社の競争優位性を高めよう
- VRIO分析とは、自社の経営資源分析のこと
- 4つの分析項目を対象に自社の競争優位性を評価する
- 分析結果をもとに強みを生かすだけでなく、弱みの強化も欠かせない
VRIO分析は、自社の経営資源について「Value(経済的価値)・Rarity(希少性)・Inimitability(模倣可能性)・Organization(組織)」の4項目から評価する経営分析のフレームワークです。
表やフローチャートを使い、VRIOの項目に合わせた「YES」もしくは「NO」で回答できる質問をおこなうことで、自社の競争優位性を評価できます。
分析結果を自社の持続的な成長につなげられるよう、強みを生かすことはもちろん、弱みも強化していくための効果的な経営戦略を考えましょう。




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