データの民主化で何ができる?エリアマーケティングへの活用例も解説

社内のデータを管理・運用する中で「顧客データを集めているものの、専門知識のない現場スタッフに共有しきれていない」「社内にデータがあるのに、活用できる人が限られている」と悩む方が多いかもしれません。
データの価値を最大限に引き出すには、データの民主化を進め、社内の誰もがデータにアクセスし、活用できる環境を整えることが大切です。
今回は「データの民主化」の意味、データの民主化を実現するメリットやポイント、エリアマーケティングへの活用例を解説します。データを活用した社内の意思決定力を強化したい方、マーケティング施策の精度を向上させたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
データの民主化とは、社内の誰でも簡単にデータを扱える環境を作ること
データの民主化とは、自社に属する誰もがデータを簡単に活用できる環境を整えることを指します。データ解析の専門知識がない人でも自分の必要なデータにアクセスし、業務改善に活用できるようにすることが目的です。
データの民主化を進めることで各部署がリアルタイムでデータを活用できれば、業務の更なる効率化や改善が可能となるでしょう。意思決定の迅速化にもつながるため、変化の激しい市場環境においても、柔軟な対応を取れるでしょう。
データの民主化を実現するメリットは大きく分けて2つ
データの民主化を実現するメリットは、大きく分けて次の2つです。
- 社内で業務を効率化できる
- イノベーションの創出につながる
なぜ、それぞれのメリットを得られるのか、それぞれ詳しく説明します。
データの民主化を実現するメリット1:社内で業務を効率化できる
データの民主化が進むと、必要な情報を誰でも迅速に取得できるため、社内の業務効率が大幅に向上します。
これまではデータ分析の専門部署を通さなければ得られなかった情報も、現場の担当者が直接データを活用できるようになるため、判断の精度が高くなり、意思決定のスピードも上がるでしょう。
データを民主化すると情報の透明性が高まるため、社内で情報を共有しやすく、各部署の連携もスムーズになります。データへのアクセスが容易になることで業務の属人化を防ぎ、組織全体の生産性向上にもつながるでしょう。
データの民主化を実現するメリット2:イノベーションの創出につながる
データの民主化が進むことで、イノベーションの創出も期待できるでしょう。プロジェクトの関係者全員が自由にデータを使い、異なる視点で分析することで、新たなアイデアが生まれやすくなるためです。
また、アクセスできるデータの範囲が広がることで、現場の従業員が課題をより深く理解し、問題解決につながる施策を提案しやすくなるでしょう。その結果、新たな市場への参入機会を見つける、革新的な商品やサービスの開発につながるといった可能性が高まります。
データの民主化を実現するポイントは4つ
データの民主化は、次のポイントを押さえて実現させましょう。
- 目的・目標を明確にする
- データを正しく活用するためのルールを設定する
- 関係者のデータリテラシーを高める
- データプラットフォームを整える
それぞれのポイントを具体的に解説します。
データの民主化を実現するポイント1:目的・目標を明確にする
データの民主化に取り組む際は、
- なぜ取り組むのか(目的)
- 何を達成したいのか(目標)
この2点を明確に定めることが重要です。データを社内で共有するだけではなく、業務効率の向上や意思決定の迅速化、新たなビジネス機会の創出など、具体的な成果目標を意識する必要があります。
また、決定した目的や目標は、経営層だけでなく実際にデータを活用する現場の社員とも共有し、全員が同じ方向を目指しましょう。組織全体が共通認識を持つことで、データの活用が促進され、効果的な運用が可能となるでしょう。
データの民主化を実現するポイント2:データを正しく活用するためのルールを設定する
データの民主化における目的や目標を達成するには、社内でのアクセス権を広げるだけでなく、適切なルールを定めることも求められます。
その役割を果たすのが「データガバナンス」です。データガバナンスとは、データの取り扱いに関する指針を定め、組織全体でそれを守るための取り組みを指します。
例えば、データの正確性を保つための入力ルール、アクセス権限の管理、セキュリティ管理の基準を設定し、運用することなどです。データガバナンスによって従業員が安心してデータを活用できるため、データ民主化の効果を最大限に高められるでしょう。
データの民主化を実現するポイント3:関係者のデータリテラシーを高める
データの民主化を推進するには、関係者全員がデータを適切に理解し、活用するためのデータリテラシーを身につけることが不可欠です。
「データリテラシー」とは、データを正しく読み解き、分析し、意思決定に生かす力をいいます。このスキルを特定の専門家だけが持つのではなく、組織全体で高めていくことが求められます。効果的にデータリテラシーを向上させるには、ステップを踏んでトレーニングを進めると良いでしょう。
《従業員や関係者のデータリテラシーを高める3ステップ》
- データ活用の重要性と実務に生かせる利点を認識・理解してもらう
- データリテラシーに関する簡単なテストをおこない、自身のリテラシーレベルを把握してもらう
- 教育プログラムを提供し、実践形式でデータの扱い方を学んでもらう
このような段階的なアプローチにより、現場の負担を抑えながら、データリテラシーの着実な向上につなげていきます。
データの民主化を実現するポイントその4:データプラットフォームを整える
データの民主化を実現するには、データの収集・管理・分析・可視化を円滑におこなうための基盤を整える必要があります。複数のデータを一元管理できるツールを導入し、誰もが容易に活用できる環境を整えることで、データ活用のハードルを下げられます。
例えば、エリアマーケティングに取り組む上でデータの民主化を推進する場合、GIS(地理情報システム:Geographic Information System)ツールの導入が有効です。GISツールでは、地図上に地理データや人口データ・顧客データ等を重ねてマッピングし、複合的な商圏分析をおこなえます。
マップマーケティングでは、社内の誰もが簡単にデータを分析して業務に生かせるツール「TerraMapシリーズ」を提供しています。店舗開発や販売促進のための商圏分析のほか、顧客データ管理など幅広い機能を利用可能です。
詳しくはこちらをご覧ください。
「データの民主化」で何ができる?エリアマーケティングへの活用例
ここでは、データの民主化で具体的にどのような効果を得られるのか、「チェーン展開におけるエリア戦略の強化を考えているスーパーマーケットが、エリアマーケティングに取り組む場合」を例に解説します。
スーパーマーケットチェーンが抱える課題とデータ民主化への取り組み
このスーパーマーケットの現時点の課題として、以下の点が挙げられます。
- 各店舗における、売上や来店客数に影響を与える要因がわからない
- 本部が持つPOSデータや顧客データを店舗の現場スタッフが活用できていない
- 新店舗の出店計画が勘や経験に頼った状態になっている
この課題に対し、次の取り組みによってデータの民主化を推進します。
《データ民主化への取り組み》
- 各店舗のPOSデータと顧客データをGISツールにインポートする
- インポートしたデータを商圏データと合わせて地図上に可視化する
- 店舗スタッフやエリアマネージャーもGISツールにアクセスできるようにする
これにより、関係者全員が地域ごとの売上傾向や人気商品の違いを特定でき、具体的なエリアマーケティング施策を立案可能です。
民主化されたデータのエリアマーケティングへの活用例
上に挙げた取り組みで民主化されたデータをエリアマーケティングに活用する場合、次の施策が考えられます。
施策名 | 概要 |
販売施策のローカライズ | 若年層の多い地域ではSNSクーポンを配信、シニア層の多い地域では新聞折り込みチラシを投函する |
品ぞろえの最適化 | 地域ごとの購買傾向に応じて、売れ筋商品を重点的に補充する |
出店計画の精度向上 | 既存店舗の中で売上が高く、客数の多い店舗を特定し、似た特徴を持つ商圏を洗い出す |
マップマーケティングが提供するエリアマーケティングツールでは、このようなデータ民主化による効果的な分析や戦略の選定をおこなえます。
店舗経営で収集しやすい顧客データやPOSデータを活用する方法について、詳しくは以下の記事もご覧ください。
まとめ:データの民主化で社内の業務改善に取り組もう
- データの民主化とは、社内の誰もがデータを簡単に活用できる環境を整えること
- データの民主化によるメリットは、社内の業務効率化とイノベーションの創出の2つ
- データの民主化を実現するにはポイントを押さえた取り組みが不可欠
データの民主化により社内でデータの使用環境を整えることで、全従業員が必要なデータにアクセスできるため、業務の効率化や改善、意思決定の迅速化につながります。
関係者全員がデータを使えることにより、アイデアの創出や新たな市場への参入機会の発見、革新的な商品・サービスの開発にも効果が期待できるでしょう。
データの民主化に取り組む際は、社内のPOSデータや顧客データなどが最新か、使えるデータであるかを判断することから始めるのをおすすめします。所有データが有用なものであれば、それらを社内の従業員や関係者全員が活用できる状態に整理してみてはいかがでしょうか。