人流データ活用で成功を掴むには?具体的な成功事例も紹介

エリアマーケティング
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近年、人々の移動の流れを把握できる人流データが注目されています。人流データという言葉は聞いたことがあっても「具体的にどういうデータなのかわからない」「どのように活用するのかわからない」と感じている方は多いのではないでしょうか。

本記事では人流データとは何か、活用事例や取得方法を合わせて解説します。

適切な人流データを取得・分析し、マーケティングに生かしたい方はぜひ最後までご覧ください。

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人流データとは?

「人流」とは、特定の場所から場所へと人が移動する流れであり、これらをまとめた情報を「人流データ」といいます。

地図上に人流データを視覚的にわかりやすく配置することで、次のような情報が把握可能です。

  • 人がいつ移動したのか
  • 移動した人たちはどこからどこへ向かったのか
  • 特定エリアでどのような動きをしたのか
  • 特定エリアでの滞在時間はどのくらいか
  • どこに何人が滞在し、そのうち何人が移動したのか

人流データが注目される理由

近年人流データが注目されていますが、そのきっかけは新型コロナウイルスの蔓延です。

2020年3月に成立した、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言にともない、各地に来訪する人の増減についての報告レポートが、政府や自治体・企業によって発表されました。

この人流調査レポートは、スマートフォンの位置情報データをもとに作成されたもので、同時期に多数の企業が発表したことにより、注目が集まったといわれています。

店舗前や商圏の人流などを分析できる人流データはマーケティング施策との親和性が高く、活用しやすいことが特徴です。デジタル技術の普及によって大量のデータの取り扱いが可能となり、多くの企業が収集・蓄積へ乗り出しはじめました。

人流データの活用事例

企業や政府が発表している人流データは、次のようなシーンで活用できます。

  • 観光地の活性化
  • 路線バスの増減判断
  • 大型商業施設でのマーケティング

それぞれの事例について、詳しい活用方法を見ていきましょう。

事例1:観光地活性化

観光地では大規模イベントが盛んであるにもかかわらず、観光客の消費が一極集中しており、地域全体に行き届かないという問題点があるでしょう。このような問題の解決に、人流データが活用できます。

観光客の人流データを分析して、

  • 地域ごとに利用可能な広告兼割引券を発行する
  • 出身アーティストのポスターを掲示する
  • 移動経路に案内看板を設置する

などの施策を打ち出すことで、地域内の回遊促進や広範囲における消費の増加が見込まれるでしょう。

人流データを活用して観光客の住所や年齢層・性別などを分析し、特性に合わせた観光客誘致戦略を立案・実行することで、地域経済に貢献できるでしょう。

事例2:路線バスの増減判断

路線バス会社では、人口や利用者の増減に合わせた既存バスのダイヤ改正、あるいは新路線の開設における便数の策定に、人流データを活用できます。

以前から、各バス会社が発行する交通系ICカードの乗降者履歴などで人々の移動経路や時間帯は知り得たものの、運行計画を立てる際には、精度の低さが問題視されていたようです。

しかし、人流データで人々の移動パターンや人口の変動を正確に把握することにより、便の増減判断や、需要に合った新路線の開設に役立てられるでしょう。

人流データをもとに路線バスの便数を調節することで、地域のニーズに合った利便性の高い交通サービスが提供可能となるばかりか、新たな収益源の創出にも効果が期待できます。

事例3:大型商業施設でのマーケティング

人流データは、大型商業施設におけるマーケティングにも活用され始めています。

商業施設の人流データを収集して顧客の動線を把握することで、テナント配置や商品陳列の最適化を実施できるようになります。顧客の動線を予測した店内配置ができるようになるため、顧客の回遊率が高まり、売上向上の効果が期待できるでしょう。

商業施設に訪れる顧客の居住地を分析し、広告の配布やデジタル広告の配信エリア選定をおこなう際にも人流データを活用できます。

近年ではAI映像監視システムを導入し、顧客のプライバシーに配慮したうえで、持ち物や服装、顔などの情報から回遊動線を計測している施設もあるようです。

人流データはどのように取得されているのか

人流データは、位置情報データから取得するのが一般的です。位置情報を取得するには、Wi-Fi・GPS・携帯の基地局情報などを使う方法があります。

ここでは、人流データとして使われる位置情報データが、どのように取得されるのかについて解説します。

Wi-Fi

Wi-Fiの場合は街中や施設内、駅構内、空港などで提供されているフリーWi-Fiの接続情報から人流データを取得することが可能です。Wi-Fiに接続した端末数を人流データとして扱い、特定のエリアにおける混雑状況を測定できます。

Wi-Fi利用のためにユーザが登録した性別や年齢といった個人情報から、属性の調査もおこなえます。

ただし、Wi-Fi機器が設置されているエリアや接続できるエリアのみに限られるため、人流データを取得できる範囲が狭いことと、精度に偏りのある点に注意しましょう。

GPS

GPS(Global Positioning System)は、日本語で「全地球測位システム」と呼ばれる、上空の人工衛星から電波を受けて位置情報を取得するシステムです。

GPSによって、スマートフォンの地図やナビのアプリを介して収集された個人の位置情報を、ビッグデータとして活用できます。

GPSの人流データを利用する際は、次の2点に注意しましょう。

  • GPSをOFFに設定しているユーザの位置情報は取得できないこと
  • SNSや地図アプリを通したデータが多く、特定ユーザの人流に限られてしまうこと

携帯の基地局情報

基地局とは、全国各地にある携帯電話と直接交信する施設です。電波がつながっている携帯電話を持っている人の位置情報を収集しており、取得可能なエリアが広いことが特長です。

基地局情報は、GPSがオフになっている場合やGPSが届かない室内でも携帯電話の電源が入っていればデータが取得されるため、より正確な人流データを得られます。

その他の収集方法

その他の人流データの取得方法としてBluetooth Low Energyを利用した「ビーコン」や、交通系ICカードの利用履歴などが挙げられます。

人流データを収集できる方法は日々増えており、最近ではカメラやレーザースキャナーを設置し、特定の箇所における人の移動を調査する方法も存在します。

まとめ:正確な人流データを取得・収集してマーケティングに生かそう

  • 人流データとは、特定の場所から人が移動する流れをまとめた情報のこと
  • 人流データはマーケティングのあらゆるシーンで活用できる
  • Wi-FiやGPS、基地局情報などから人流データを取得できる

近年、特定の場所から場所へ移動する人の動きをまとめた人流データが注目され、さまざまな業種のマーケティング施策に活用されています。

Wi-FiやGPS、基地局情報のほかにも日々さまざまな収集方法が増えており、人流データの需要の高さがうかがえます。

人流データを活用して商圏や顧客の正確な情報をつかみ、効果的なマーケティング施策の立案につなげましょう。

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