定番出店形態3つのメリット・デメリットを解説!出店戦略に活かそう

出店戦略 , 店舗開発
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実店舗を出店する際にはまず店舗用の物件を探しますが、店舗出店用の物件にはどのような形態があるのでしょうか。

店舗経営用の物件は、土地の特性や出店場所、またその条件によっていくつかの形態に分かれています。
どの出店形態にもメリット・デメリットがあるので、店舗の業種やコンセプトに合った形式を見極めましょう。
今回は定番の出店形態について特徴やメリット・デメリットを解説するとともに、近年注目されている新しい出店形態「ポップアップストア」「複合業態店」も詳しく説明していきます。

商圏分析で市場を把握。新規出店の調査がスムーズに。

出店形態①ビルイン形式

「ビルイン」とは、貸しビルの一室に店舗を構える出店形態を指します。
ビルは都市部に集中し、繁華街の雑居ビルや駅ビル・オフィスビルなど種類はさまざま。ビルの2階以上を指すことが多いです。

ビルイン形式は、飲食店やコンビニ・アパレルショップなどの幅広い業種に対応している出店形態です。商品を販売する業種だけではなく、不動産会社やセキュリティ会社のオフィスなどサービスを提供するタイプの業種にも適しています。

ビルイン形式のメリット

ビルイン形式のメリットはターゲット層を絞りやすいところと、初期投資が抑えられるところ。
一つのビルに店舗が集まるため、当該ビルや近隣ビルの店舗状況、地域の特性・客層をまとめて調査・分析でき、出店計画も立てやすいです。
また、内装や看板に力を入れる必要がなく改装費を節約できるため、初期投資が少ないことも大きなメリットです。

視認性が低いビルイン形式の店舗経営では、詳細なエリアマーケティングや商圏分析などによって、いかに多くのお客様を集められるかが重要視されます。

ビルイン形式のデメリット

ビルイン形式のデメリットは家賃の高さにあります。
都市部の繁華街や駅前に多いビルイン物件は、他の物件よりも家賃が割高に設定されています。業績が上がって資金のやりくりを安定しておこなえるようになるまでは、高い家賃がネックになる可能性もあるでしょう。

郊外のビルイン物件で家賃を抑えるというのも一つの手段ではありますが、ビルイン形式の店舗には、オリジナル看板などによる他店舗との差別化がしづらいという特徴があります。

視認性の低さから、集客が難しいのもビルイン形式のデメリットです。利便性が低いビルに出店すると、集客の難易度はさらに上がってしまうでしょう。

出店形態②テナント形式


テナント形式とは、主にショッピングセンターや百貨店などの商業スペースを、建物の運営企業やオーナーから借りて経営する出店形態を指します。

テナントはたいてい簡易的なパーテーションや内壁で仕切られていますが、中にはテナント間を仕切らず、行き来しやすいようフロア全体にオープンで展開している形式もあります。デパ地下や百貨店の化粧品売り場などがその代表例でしょう。

テナント形式のメリット

テナント形式のメリットは集客の手間がかからないこと。
商業施設全体でおこなわれる集客や販促が多く、自店舗で企画しなくても人が集まりやすいのです。
また、商業施設に来る人は比較的購買意欲の高い層が多く、自店舗目当てでなくても購入を促せる確率が高まります。
さらにテナント物件はカスタマイズのしやすさもポイントの一つ。広いフロアを区切ってスペースを作るため改装しやすく、独自性が高い装飾で利用者の目を引くことができます。

テナント形式のデメリット

テナント形式のデメリットはさまざまな制限があることです。
例えば営業時間や定休日は、商業施設に準じて決めなければなりません。内装にも防災設備や施設のコンセプトを組み入れたデザインを求められることがあります。
さらに、テナント形式の店舗では、家賃の他に売上歩合で使用手数料を支払う必要があります。店舗の売上が上がるほど維持費もかさむというのがテナント出店の大きな課題です。

出店形態③路面店形式


路面店形式は、建物の1階で駅前通りや繁華街の通りに面した物件で出店する形態です。
出店業種は飲食から物販・アパレルなど幅広いのですが、特に有名ブランドや有名企業の直営店・旗艦店が店舗を構えるケースが多い傾向にあります。

路面店形式のメリット

路面店のメリットは突出した視認性の高さです。
大通り沿いに位置するため通行人の視界に入りやすく「営業しているだけで宣伝効果がある」という状況が作り出せます。
扱う商品をはじめとするビジネスの自由度が高く、また、通り沿いにある路面店は顧客が直接入店できるため、好きな営業時間や定休日を定めて競合との差別化を図ることも可能です。内装・看板といった店舗コンセプトも周囲に合わせる必要がなく、独自性の高い店づくりがおこなえるでしょう。

路面店形式のデメリット

路面店のデメリットは家賃が高額なことと、それに伴う保証金や式礼金の金額負担の大きさです。
たとえ同じ雑居ビルの物件でも路面店と2階以上のビルイン物件では2倍以上の家賃差が出る場合もあり、家賃を基準に決められる補償金・賃貸の初期資金なども高くなってしまいます。

増える新しい出店形態「ポップアップストア」

ポップアップストアとは、移動販売車や路面などに現れる期間限定店舗のこと。
コストの低さやプロモーション力の高さなどから、これまでも利用していた企業はありますが、近年さらにポップアップストアへの注目度が高まっています。

特に、2020年には新型コロナウイルスの流行で外出を自粛する人が増えたため、来店率の落ち込んだ企業がポップアップストア形態を併用した販売ルートの拡大に乗り出しました。

では、新形態であるポップアップストアにはどのような種類があるのでしょうか。

ポップアップストアの種類その1:小回りがきく「移動販売」

移動販売とは、トラックやバンなどの車両に商品を積んで街を巡りながら販売をおこなう形態のこと。飲食・物販のどちらも可能です。
季節やイベント・ターゲット層に合わせた商品を最適なタイミングで販売できるため、既存店が移動販売を並行するケースも少なくありません。
ただし、飲食物を販売する場合は、車内に営業地域の管轄保健所から指定された設備をそろえること、さらに自宅や車内以外の仕込み場所を確保する必要があります。

ポップアップストアの種類その2:経費が抑えられる「マーケット出店」

マーケット出店は、人通りが多い路面や催事スペースなどで簡易的な設備を使用して物品の販売をおこなう形式のこと。
出店許可を得られるとフリーマーケットのように簡易的な形態で店舗を開けるので、初期投資があまりかからないというメリットがあります。定期的におこなわれる大規模なマーケットイベントに出店して、知名度や集客力を上げるという方法も使えるポップアップストアです。

ポップアップストアの種類その3:相乗効果が期待できる「間借り出店」

「間借り出店」は、既存店の一部や営業時間外にスペースを借りて営業をおこなう出店形式です。出店側は既存店が持っている集客力を利用でき、既存店側は自店舗のターゲット層とは異なる新規顧客の流入を期待できるため、相互にメリットが発生しやすい形態です。

増加する「複合業態店」というスタイル


複合業態店は、一つの店舗の中に複数の業態が存在する店舗形態のこと。
ある業種が全く異なる業種を同じ店舗内で展開する「複合業態店」は、2008年頃から全国的に増加しています。

例えば、携帯ショップとカフェ・パン屋の組み合わせや、コインランドリーと喫茶店の組み合わせなど、待ち時間を有効活用できる複合業態店があります。
本やDVDの販売をおこなう有名企業が同店舗内にカフェを併設し「店内の本を読みながらコーヒーが飲める」という新しいスタイルを確立したのは、記憶に新しい出来事です。

他にもスーパーマーケット内に併設された同一企業の銀行、玩具専門店とベビー用品店の併設店舗など、多くの業種が複合業態店を誕生させています。

現在、出店形態は成熟化が進み、企業側は「利用者に新鮮な業態を提供し購買率を高めること」を模索しています。その結果、今までにない複合業態店という出店形式に注目が集まっているのです。

複合業態店舗は集客を一本化し、自社のサービスを複数利用してもらえる画期的な業態形態です。柔軟な発想によって新たな出店形態を生み出すことができれば、競合他社との差別化を図れるでしょう。

まとめ:世情に合った出店形態を選ぼう


新型コロナウイルスの流行や業態の成熟などで社会の情勢は常に変化し続けています。今後、新たな店舗を出店する場合、また、支店を増やして事業を拡大する場合には変化する世情を読み取り、状況に合った出店形態を見極める必要があるでしょう。
出店する地域の消費者が何を求めどんな店舗に足を運ぶのかを常に洞察し、ニーズに合った形態で店舗経営を成功させましょう。

商圏分析で市場を把握。新規出店の調査がスムーズに。

タグ : 出店
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