販促のコツは【ユーザーを理解する】基本から企画のポイントまでのまとめ

販売促進
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販促のターゲットを選定する際、ユーザーのどういった悩み、欲求に訴求すべきか判断に迷った経験はありませんか。実際のところ、お客様の潜在的ニーズまでしっかりと理解して、販促企画が立てられているケースは多くはないでしょう。

販促企画の成功・失敗に大きく影響してくるのは、顧客の「インサイト」です。
インサイトとは、元々「洞察」「眼識」という意味の英単語ですが、販促上では「人を動かす隠れた心理(潜在ニーズ)」という意味合いで用います。”潜在”なので、実はお客様自身が気づいていない場合もあるのです。

今回は、この”インサイト”まで含めた「ユーザーを知る」ということが、いかに販促成功のコツとなっているか、ということと、ユーザーを知る方法(分析手法)自体について、分かりやすくご説明します。

販促の基本


自社・自店の販促を実行する際には、それに先立って綿密な計画を立てる必要があります。そのために、まず今回の販促計画の「成果、または売上、利益など」を明確に決めなければなりません。

そもそも、販促(販売促進)とは、”売り手が買い手の購買心を刺激し、商品・サービスなどを購入させるためにおこなう組織的な活動”のこと。
とはいえ、企業活動において、販促計画は売り手が、”どんなユーザー”に対して”どんな販促施策”を実行し、”どのようなゴール(成果や売上、利益など)”を得たいと考えているかが明確になっていなければなりません。そのため、ユーザーが得たいゴールが明確になってはじめて、ターゲット顧客の絞り込みと具体的な実施内容への落とし込みができるようになります。

たとえば、ゴールが”売上〇〇%増”だとすると、そのために「新規顧客よりも売上に貢献してくれるので、既存顧客からの売上〇〇%増を目指す」という目標が立てられます。
この目標に対して、実施すべき施策は、既存顧客の目に留まりやすい既存顧客向けの施策である「会員ポイントカードで割引率UP」や「会員向けメールマガジン発行」などを選ぶようになるでしょう。

もちろん業種・業態によって違いはありますが、こういった目標に合わせた施策はそれほどに重要になってきます。

販促施策を企画するために!ユーザー像を知るための主な分析手法


 あなたが計画している販促の、ゴールとターゲットと販促施策との関係、その中でも特に最も重要な「ターゲット顧客(ユーザー)」を“見える化“するための代表的な手法として、

  • カスタマージャーニー
  • KPI
  • CRO(Conversion Rate Optimization)

などがあります。このコラムでは、各手法について、ポイントとなる考え方をご紹介いたします。

カスタマージャーニー分析

カスタマージャーニーとは、顧客(ユーザー)が商品・サービスを購入決定するプロセスを旅に例え、その顧客(ユーザー)の行動や心理を時系列的に可視化する分析手法です。

最も有名なケースとしては、「鉄道会社Rail Europeのカスタマージャーニーマップ」の例があります。
鉄道会社が、顧客(ユーザー)の時系列での動き、例えば調査や予約、旅行、旅行後を、その時の行動、感情とあわせて可視化(マッピング)したものです。図示の仕方で、あなたのビジネスの顧客(ユーザー)が購入前に「何を考え」「どこに惹かれたか」という仮説を立てることで、”どんな「買い手」”に、”どんな販促施策”を実行したら良いかの方針が立てやすくなります。

KPIツリー分析、中間・最終CV

 KPIツリーとは、あなたが決めたゴール(重要目標達成指標*KGI)を達成するための、ツリー状に図表化した分析項目資料のことです。
(例)

※KPIツリーの一例

KGI Key Goal Indicator/重要目標達成指標。
自社・自店のビジネス最終目標(売上・利益)を定量的に評価するための指標。
KSF Key Success Factor/重要成功要因。
自社・自店のKGI実現のために最も重要な要因を定めるもの。
KPI Key Performance Indicator/重要業績評価指標。
KGIに対する達成度合を計量するために用いる指標。

分析の対象となるビジネスが実店舗かオンラインか、取り扱うものが消費財かサービスか、そのほかさまざまな要因によってツリーの作り方は大きく変わります。

ただ、実店舗の場合には一般的にKSF、つまりゴール達成の最大要因が「狙うべきターゲット顧客」となります。それほど、販促のプランニングにあたっては、事前のターゲット顧客(ユーザー像)の正確な定義、が重要になってくるのです。

CRO(Conversion Rate Optimization/コンバージョン率の最適化)

コンバージョン(conversion:CV)は、「変換」「転換」を意味しますが、マーケティングの世界では(主にオンライン広告・販促の)最終的な成果・実売などを表す言葉です。

Webマーケティングではごく一般的な概念ですが、従来型の実店舗を持つ小売業界では、まだあまり馴染のある言葉ではないかもしれません。しかし近年では、リアルな商店などでも、特に中間的なCV(来店)を最終CV(購入など)に引き上げるためのきっかけに関する分析が、非常に重要視されています。なぜなら、いたずらに入店客数増のみを追いかけなくとも、ECサイトなどの通販でも売上拡大につなげられるからです。

実店舗では正確な流入数(来店数)の把握が難しいうえに、店内レイアウトや在庫数、スタッフ人数や接客の質など、変数が非常に多いため、Web広告でのコンバージョンのように単純な指数(conversion rate:CVR)化はできません。
しかし、「売り場POPを置く日と置かない日の売れ行きの違い」といったABテストでも、実店舗において、何がコンバージョン(お客様の財布の紐を解かせるきっかけ)につながったか、仮説を立てていくことが可能となります。

顧客データの分析


既存顧客の分析は、すでに運営が始まっている店舗にとっては、成功パターンを導くためには最短の手法の一つ。
たしかに出店前にそういった想定される顧客のセグメントなどは分析しているケースが多いでしょう。
しかし、実際にどうだったかの事実をベースとした顧客分析は、店舗の業績向上にはとても重要です。

自社・自店が持っている既存顧客の顧客データについても詳細に調べていくことによって、「過去に成功した販促施策が、どのような属性(年齢/性別/収入/世帯構成など)のお客様に響いたものなのか」といった成功パターンがつかめるようになるでしょう。
そうすることで、今後打つべき手(販促施策)の選び方が具体的になります。

販促施策の訴求先には、ターゲットとなるユーザーがいるか

既存顧客の顧客データは、別コラムでご紹介するエリアマーケティングGISによって商圏の地域特性と重ね合わせることで、より強力なプランニング・ツールとなります。

自店を中心としたデジタル地図上に顧客情報をマッピングすることで、これから実行する予定の施策ターゲットが、商圏範囲に多くいるのか否かということまで、実行前に推定可能となるのです。
それだけではなく、既存顧客が多くいる地域とそうではない地域を比較・分析することで、まだ開拓しきれていない地域へ、どのようにプロモーションを仕掛けるべきかも判断できるようになります。

まとめ:販促のコツはお客様像をつかんで深く理解すること

自店舗を分析して。お客様像や具体的なペルソナ像が掴めたら、販促計画を練る準備は整い始めているでしょう。
根拠なく主観的に「お客様はこういうもの」という判断をするのではなく、あくまでも顧客目線の冷徹な振り返りが必要です。

ユーザーを深く知ることができれば、そこから先の販売促進計画の立て方については、別コラムでもご紹介していますので、そちらも是非ご参照の上、いま皆さんが携わっているビジネスのケースに具体的にあてはめてみてください。

商圏分析で市場を把握。新規出店の調査がスムーズに。

タグ : データ分析 販売促進 顧客分析
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