顕在層と潜在層の違いは?区別すべき3つの理由と有効なマーケティング手法

「店舗の売上が伸び悩んでいる」「顕在層と潜在層という言葉は聞いたことあるけど、実はよくわかってない」「マーケティングを基礎から学び直して、店舗運営に生かしたい」
このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、顕在層と潜在層はどのような客層を指すのか、それぞれの層に効果的なマーケティング手法は何かを、わかりやすく解説します。
顕在層・潜在層の違いを理解して売上を増やしたい方や、客層ごとに有効な手法を学びたい方は、最後までお読みください。
目次
顕在層と潜在層の違いとは?潜在層から顕在層へ移行する流れも解説
顕在層と潜在層は、ニーズを自覚しているか、行動を起こしているかによって違います。中間の準顕在層を含めて、それぞれの違いを表したものが下の図です。

ニーズが強まるにつれて商品への関心も高まり、潜在層から準顕在層を経て、顕在層へ移行します。
顧客の購買行動をたどったものに「カスタマージャーニー」があります。カスタマージャーニーとは、顧客がサービスや商品を知り、購入・利用するまでの一連の流れです。さまざまなパターンから、今回は2つ紹介します。
- AISAS:商品の認知→興味を持つ→調べる→購入→情報の共有
(Attention→Interest→Search→Action→Shere) - AIDMA:商品の認知→興味を持つ→欲求する→記憶する→購入
(Attention→Interest→Desire→Memory→Action)
次以降、顕在層と潜在層について個別に解説します。
顕在層とは「悩みやニーズが明確で、商品・サービスに興味がある層」のこと
「顕在層」とは、自分の悩みやニーズを明確に把握し、解決策を模索している人々を指します。この層の特徴は、積極的に商品やサービスの情報を調べ、店舗に問い合わせる、足を運ぶといった行動をとる人が多いことです。
《顕在層の例》
- 新商品への関心が強く、発売当日に来店する
- チラシの情報を見て、特売品を購入する
- 「スーツ 洗える」「スーツ 機能的」などの具体的な言葉で検索する
顕在層は必要なものがある程度決まっているため、購入の可能性も高く、顧客化しやすいといえます。
潜在層とは「悩みやニーズをまだ自覚しておらず、商品・サービスへの関心が薄い層」のこと
「潜在層」とは、悩みやニーズの自覚がないため、具体的な行動を起こしていない人々です。潜在層の場合は、ニーズの自覚がなく商品・サービスに興味のない人のほか、悩みの解決方法がわからず、情報を収集していないなど、さまざまな人がいます。
《潜在層の例》
- 部屋の使い勝手が悪いけれども、明確な原因はわからない
- SNSで見かけた商品・サービスに興味はあるが、行動に移してはいない
- おいしそうな飲食店を見つけたが、来店したことはない
顧客を増やして売上を伸ばすには、潜在層を顕在層に引き上げることが重要です。商品・サービスに興味がないばかりか、存在自体を知らない潜在層も多いため、顕在層へと育成するにはまず、認知してもらう必要があります。
顕在層と潜在層を区別すべき3つの理由

以下の理由から、顕在層と潜在層を区別する必要があります。
- 層ごとにアプローチ方法を変える必要があるため
- 設定すべき数値目標(KPI)がそれぞれ異なるため
- 短・中長期的な売上アップを目指すため
顕在層と潜在層はニーズに対する意識が異なるため、画一的なアプローチでは効果を得られません。ニーズが明確な顕在層には購入の決め手となる具体的な情報を提案し、ニーズの不明確な潜在層には、商品を知り、興味を持つきっかけを与えるというように、それぞれの層に合わせたアプローチが求められます。
設定するKPIが異なることも、顕在層と潜在層を区別する理由です。購入の可能性が高い顕在層は商品の成約率や購入数、潜在層はすぐ購入するとは限らないため、SNSのインプレッション数、ECサイトの滞在時間などを設定します。
店舗経営の際、商品の仕入れやスタッフの雇用など、あらゆることについて回るのは費用です。中長期的な効果を見据えた施策も重要ですが、経営にかかる費用を考えると、短期間で売上を得なければなりません。
短期的な売上につながりそうな顕在層と、将来顧客となりうる潜在層のそれぞれに適切な施策をおこない、店舗経営を安定させるためには、2つを区別する必要があります。
顕在層に有効なマーケティング手法

複数の商品を比較・検討している顕在層に対して、どのような戦略を使えば購入に至るのかを考える必要があります。
この章では、顕在層に有効的なマーケティング手法として、リターゲティング広告とリスティング広告、SEO対策の3つを紹介します。
リターゲティング広告
「リターゲティング広告」とは、過去に自社サイトを訪れたユーザの端末に表示させる広告です。過去の行動に基づいた広告を配信できるため、購入意欲の高いユーザを狙えることが特徴です。再訪のきっかけとなり、購入や申し込みにつながる可能性も上がるでしょう。
リターゲティング広告を実施する際は、広告の表示頻度や配信のタイミングを適切に設定し、顧客の購買意欲を刺激する魅力的なメッセージを盛り込むと効果的です。
リスティング広告
「リスティング広告」とは、GoogleやYahoo!検索などの検索エンジンで、検索結果の上部に表示されるテキスト形式の広告です。
入力された検索キーワードに連動した広告で、ニーズの明確なユーザにピンポイントでアプローチできるため、効率的な集客につながります。
リスティング広告の効果を最大化するには、適切なキーワードを選び、タイトルと広告文を工夫することが大切です。クリックしたくなるタイトルと、わかりやすく魅力的な文章を設定しましょう。
SEO対策
「SEO対策」とは、自社サイトを最適化させ、検索エンジンで検索結果の上位に表示させるための取り組みです。検索結果の上位に表示されると中長期的に継続表示されるため、多くのユーザを集客できます。広告費がかからないことも大きな特徴です。
店舗情報やメニューの最適化、地域名を含めたキーワードを選ぶことがSEO対策におけるポイントです。実店舗への集客をおこなう場合は、ローカルSEO対策として、レビュー掲載を活用することもおすすめします。
潜在層に有効なマーケティング手法

ここでは、潜在層を顕在層へ移行させる際に有効な、ディスプレイ広告、ウェビナー、タクシー広告、タイアップ広告の4つを紹介します。活用しやすい広告を選ぶ参考にしてください。
ディスプレイ広告
「ディスプレイ広告」とは、Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告で、「バナー広告」とも呼ばれます。
画像や動画を活用して視覚的に訴求することで、ユーザの興味・関心を引きます。幅広いターゲットにアプローチできるため、自社ブランドや商品・サービスを知らない潜在層の認知向上に適しているでしょう。
ターゲットの興味・関心に合うクリエイティブの作成、適切な表示場所の選定が成功のポイントです。
ウェビナー(Webセミナー)
「ウェビナー」とは、Web会議システムを使用しておこなうオンラインセミナーです。オンライン上で開催するため、会場をセッティングする必要がなく、参加者を集めやすいメリットがあります。
ウェビナーを実施する際は、内容に合わせて以下のどちらかを選ぶことがポイントです。
- ライブ配信:参加者とリアルタイムでやり取りできるため、討論会などに適している
- 録画配信:編集済みの動画を配信するため、展示会などに適している
タクシー広告
「タクシー広告」とは、タクシーに掲示される広告すべてを指します。ドアにプリントされた広告やステッカー、近年増加している、車内搭載型のディスプレイで配信する広告動画も含まれます。
車両にプリントされた広告は地域での視認性が高く、車内のディスプレイによって、移動時間中の自然な認知も可能です。
朝の通勤時や夜の繁華街など時間帯に応じてターゲットを絞ると、効率よくアプローチできるでしょう。短時間でメッセージを伝えるには、クリエイティブの工夫も欠かせません。
タイアップ広告
「タイアップ広告」とは、Webメディア媒体に依頼して、記事や動画などのコンテンツを通じて自社商品・サービスを宣伝してもらうことです。人気メディアの発信力と信頼性を活用して、自社や商品・サービスの認知度を上げられます。
タイアップ広告を実施する際は、ターゲット層に合ったメディアを選び、魅力的な内容の記事構成を考えましょう。
まとめ|顕在層と潜在層の違いを理解し、適切なマーケティング手法を選ぼう
- 顕在層は自分の悩みやニーズを明確に把握しており、すでに解決策を模索している
- 潜在層はニーズの自覚がなく、情報収集はしていない
- マーケティング手法は層によって異なる
顕在層と潜在層を深く理解し、購買行動や心理状態に合わせたマーケティング戦略を展開することは、事業の成長において不可欠です。それぞれの層に応じた施策を活用することで、短期的な売上アップと持続的な事業拡大を実現できるでしょう。
新規顧客の開拓に取り組む方は、今回紹介したマーケティング手法から取り組みやすいものを選んで実行してみましょう。



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