住所の正規化とは?概要や求められる理由、2つの実施方法を解説します

社内の顧客リストを整理する中で「住所の表記ゆれが発生してしまう」「顧客リストを統一した形式で管理したい」と悩んでいる方は多いでしょう。保有する顧客リストの精度を高めて業務の効率化を図るには、住所を一定のルールに従って整える「住所の正規化」が欠かせません。
今回は「住所の正規化」の基本的な概要や実施方法、成功事例を解説します。住所リストの統一方法を知りたい方や、顧客リストを正規化して業務効率を改善したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
住所の正規化とは表記ゆれや古い住所の問題を解決する手法
住所の正規化(住所クレンジング)とは、システムや業務で扱いやすいように、住所表記を統一・整理することです。
例えば「東京都渋谷区渋谷1-1-1」「東京都渋谷区渋谷一丁目1番1号」などは、同じ場所を示していても表記が若干異なります。このような表記ゆれが、同一顧客の重複登録や検索ミスを引き起こす原因です。
住所の正規化をすることで顧客リストの管理がスムーズになり、業務効率やマーケティング精度の向上につながります。
住所の正規化でおこなう3つのこと
住所の正規化では、次の3つをおこないます。
- 表記ゆれの統一
- 抜けている部分の補足
- 住所表記の変更
住所の正規化について、下表にまとめました。
種類 | 住所の正規化例 | 補足 |
表記ゆれの統一 |
東京都渋谷区渋谷一丁目一番1号 ↓ 東京都渋谷区渋谷1丁目1番1号 |
この例では「半角算用数字で統一する」と決め、漢数字との混在を修正 |
抜けている部分の補足 |
渋谷区渋谷1丁目1番1号 ↓ 東京都渋谷区渋谷1丁目1番1号 |
都道府県名が省略されているため補完 |
住所表記の変更 |
栃木県下都賀郡岩舟町小野寺 ↓ 栃木県栃木市岩舟町小野寺 |
市町村合併や区画整理で変更された住所を、最新の地名に更新 |
表記ゆれを統一する際は、英数字では半角か全角のどちらを使うかといった、ルールを決めておきます。地名を間違えていないか確認することも、忘れないようにしましょう。
抜けている部分として、表の例では都道府県名の省略を挙げましたが、他にも町名(〇町〇丁目)や街区符号(〇番)、住居番号(〇号)などの記載がない場合もあります。
住所の正規化が求められる理由
住所の正規化が注目されているのは、データ活用が進む中で「表記ゆれ」や入力ミス、旧住所のまま放置されているなどの問題が顕在化しているためです。
同一顧客が別人として重複登録されている、入力ミスにより住所が曖昧であるという状態では、的確なマーケティングをおこなえず、顧客分析の精度も下がり、営業機会やリピーター獲得のチャンスを逃すなど、あらゆる面での損失につながります。
住所の正規化は、こうしたリスクを防ぐには欠かせない取り組みです。
住所の正規化を実施するには
住所の正規化を実施するには、手動でリストと照合する方法と住所正規化サービスを使う方法があります。それぞれの概要と注意点などを簡単に解説します。
住所の正規化その1:手動でリストと照合する
一つは、最新のデータベースと照合しながら、手作業で自社のリストを修正する方法です。郵便番号データや、国土交通省が公開している国土数値情報などの最新住所データと、自社の顧客リストを突き合わせて一つずつ確認・修正します。
ただし、この方法はリストの登録件数が多くなるほど手間がかかるうえ、正規化の精度は保有する正確な住所データの数によって変動するというデメリットがあります。件数が少ない場合や一時的な対応としては有効ですが、リストが膨大である場合は適していません。
住所の正規化その2:住所正規化サービスを使う
「住所正規化サービス」は、企業が保有する住所リストを自動で統一表記に変換できる外部ツールやクラウドサービスです。
住所正規化サービスを利用すると、ツールの最新住所データと企業のリストを自動で照合し、表記ゆれなどの統一と最新情報への更新を手間なく完了できます。大量のリストを短時間で処理できるため、業務効率も向上します。
サービスには、アウトソーシングやAPI連携、Webサイト上での変換などさまざまな種類があります。そのほかにも正規化の精度や導入コスト、自社システムとの相性などを見て判断しましょう。
住所の正規化によるマーケティングの成功事例2つ
ここでは、住所正規化によるマーケティングの成功事例を2つ紹介します。
それぞれの事例をもとに、実際の導入イメージを考えてみましょう。
事例1:配送トラブルの削減
EC企業のA社では、顧客に住所を入力してもらう際のルール決めをおこなっていなかったため、以下の課題があったそうです。
- 全角半角の表記ゆれや街区符号・住居番号などの省略による配送エラーの多発
- 上記に関連する再発送や返品処理、クレーム対応によるタイムロス
そこでA社は住所正規化サービスを導入し、受注と同時に入力された住所を正規化する仕組みを構築。さらに、正規化した住所を地図データや配送ルートと自動照合することで、配送の精度を高める体制を整えました。
住所の正規化をした結果、配送エラーは大幅に減少し、再配送やクレーム対応の件数も減り、コールセンターの負担が軽くなったといいます。加えて、顧客へのスムーズな配送が可能になり、顧客満足度の向上にもつながったそうです。
住所の正規化は単なるデータ整備にとどまらず、業務効率とサービス品質を同時に改善する、有効な手段といえるでしょう。
事例2:ターゲティングの精度向上
全国に600以上の店舗を展開しているB社は、会員情報を活用したエリア別の販促活動を実施していました。
しかし、登録されていた住所に「数字の表記ゆれ」や「都道府県・市区町村名の省略・欠落」などの不備が多かったため、以下の課題を抱えていました。
- 同一エリアに属する会員を正確にグループ化できない→商圏分析の精度が低い
- 対象外の地域にも販促物を送付していた→コストがかさむ
そこでB社は、住所正規化ツールを導入して既存の会員住所データを一括で整理・統一し、GIS(地理情報システム)と連携。
その結果、エリアごとの正確な顧客分布の把握につながり、より精度の高い商圏分析が可能となりました。対象外の地域に対するチラシ送付も削減できたため、販促コストの大幅なカットを実現したそうです。限られたリソースを別の業務に回せるため、プロモーション全体の効率と費用対効果の向上にも効果を期待できるでしょう。
住所正規化は、販促戦略の基盤を整える上で重要であるとわかる事例です。
まとめ:住所の正規化で業務効率を改善しよう
- 住所の正規化とは、住所表記を統一・整理すること
- 代表的な例として「表記ゆれの統一」「抜け補足」「住所表記の変更」の3つがある
- 住所の正規化には2つの方法がある
住所の正規化とは、システムや業務で扱いやすいように住所表記を統一することです。
正規化には、表記ゆれの統一、抜けている街区符号や住居番号などの補足、市町村合併などに伴う住所表記の変更などがあります。このような修正箇所を放置すると、顧客分析の精度が下がり、マーケティング機会の損失につながる可能性があります。
住所の正規化を実施するには、手動によるリスト照合と住所正規化サービスを使う方法の2種類です。
これから住所の正規化に取り組む方は、まず自社の店舗住所をGoogle Mapsなどで緯度経度変換してみることから始めてみましょう。